私と彼 3【宮侑】

Ｔシャツと彼 ページ32

｢...｣





現在、洗濯物を干している最中なのだが

私は気が狂いそうになっていた。






｢(出てくるの全部侑のTシャツばっかやな)｣






洗濯カゴに手を突っ込み、

適当に取ればすべて侑の練習用のTシャツばかり。

TシャツTシャツTシャツ。

無地の黒だから、なんだか嫌になってきたところだ






｢(そして今もきっと黒のTシャツ)｣






高校生と合同練習をしているそうで

今はそれに行っていて家にはいない。

あの野郎、黒しかあらへんのか。




・

・

・



昼過ぎ。

ご飯を食べて、昼ドラを見ていた。





｢(うわ、えげつな)｣





見ていたものは、主人公が親友に恋人を奪われて

復讐を考えるというもの。

主人公とはいえ、復讐のやり口がえげつない。





｢(ほんまにこんなことあんの？)｣





テーブルに手をついて立ち上がり、

洗濯物を取り込むことにした。

そこで、無造作に放り投げられた服たちを畳む。





｢(...)｣





目の前に侑の黒いTシャツを広げてみる。

こう見たら本当にでかい。

あいつも男なんだなぁ、と実感した。





｢私着たらワンピースやなこれ｣





ここで、私の好奇心がでてしまった。

好奇心やから、好奇心。






｢(まだ、帰ってこんよな？)｣






時計を見ると、まだ侑が帰ってくる時間ではない。

よし。と思い、1度上の服を脱いで

侑のTシャツを着てみた。

ほんま、好奇心やからね皆さん。

｢うわ、きも｣とか思わんといて下さいお願いやから





｢あは！でかい！｣





予想通り、Tシャツの丈は私の太ももまであった。

こんなに体格差があるのか。





｢(デカすぎてスースーする。)｣

｢(あ、でも動きやすいな)｣





スポーツ素材ということもあり、

生地はサラサラしている。

それにサイズが大きいからダボダボだ。





｢ふふ、大きい｣





1人家の中ではしゃいでいる私。

傍から見れば、Tシャツを着てはしゃいでいる

頭のおかしい奴。





｢(...あ、侑の匂い)｣

｢(はっ！！変態か私のアホ！！)｣





洗いたてだから、柔軟剤の匂いもするが

侑の匂いもすることに気付いた。

ここまで来たら重症やな私も。

変態症候群末期や。





｢...ねむ｣





しかし、満腹になると眠くなるのが人間だ。

私も間違いなく人間だから、

お昼ご飯を食べたあとは眠くてしょうがない。





｢(ちょっと、だけ...)｣





全身の力が抜けて、私は横に倒れた。

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