私と彼 3【宮侑】

嘘と彼女 ページ26

今日は、きっとAが今年1番張り切る日になるだろう。

そう、エイプリルフールだ。





｢(今年はどんなネタやろなぁ)｣





去年は留年、一昨年は実は純日本人ではないという

突然のカミングアウト。

嘘か本当か分からないことを言うのが彼女だ。






｢(高２の頃のは良かったな)｣






出来事は高校二年生、4月1日に遡る。





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｢あー！春休みやのに毎日練習ってなんやねん！｣

｢ならバレー辞めろや｣

｢嫌や！辞めへん！｣

｢どっちやねん｣





ぶーぶー文句を言いながら、

サムと一緒にバレーの練習から帰っていた日だ。

春休みなのにAとどこにも

遊びに行けないと嘆いていた。





｢ただいま！｣

｢ただいま｣

｢おかえりー｣





家に帰れば、オカンが居て

そんなに怒ってどうしたん？と聞かれたのを

今でも覚えている。





｢(怒ってるちゃうし)｣





怒ってるというよりも、あれやこれやが

出来ない歯がゆさにもどかしくなっていた。

そのまま部屋に行って、

練習着から着替えていると、

ピコンとSNSの通知音が鳴ったのだ。





A部活終わった?
あつむ終わったで。どうしたん?






どうやらスマホの調子が悪いらしく、

電話をかけることが出来ないらしい。

だから、1度電話をかけてくれないかと

頼まれたのだ。





｢もしもし？｣

【部活お疲れ様】

｢おー、ありがとう｣





春休みにはいって数日ぶりの彼女だ。

わずかな胸の高鳴りを隠しながら、

俺はAと話していた。





｢スマホ、治った？｣

【んー？んー】

｢どっちやねん｣

【まあ】

｢治ってへんの？｣

【治った治った】





笑いながら言う彼女に少し違和感を抱いた。

言葉の節々に歯切れの悪いものを感じたからだ。






【あのな、侑】

｢ん？｣

【怒らないで欲しいんやけど】

｢うん｣

【スマホ、調子悪いって嘘やねん】

｢えっ｣





衝撃のカミングアウト。

別にこの程度で怒りはしないが、

どうしてそんな嘘をついたのか聞いてみた。





【えっと...その、話したくなって】

【ごめん引いた？】

【疲れてるのにそんなことすな！ってね。】

【あれ？電波悪いんかな...侑ー？】





すぐにミュートのボタンを押して、

俺は布団に顔ごとうずくめた。






｢(はー、可愛すぎか！！！！)｣





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あの時のAはレアやなぁと

思いふけっていた

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