12 リハビリ ページ12
「おはようございます金橋さーん」
「おはようございます」
朝早く、看護師さんが元気よく挨拶をして入ってきた。
少し話をすると、「あ、そうだ」と何か思い出したようだ。
「ご飯の後に先生来るんで、そのときに包帯外しますね」
「今じゃないんですね」
「あはは!外したいですよねぇ、やっぱり」
朝から眩しいほどの笑顔を向けるこの人は、
多分私の2個上ぐらい。
それじゃ後でまたー、と元気よく出て行った。
「(この包帯ともおさらばや。)」
少しウキウキした気持ちで私は朝ご飯を待った。
・
・
・
「それじゃ外しますよー」
「お願いします」
朝ご飯を食べ終えたあと、
先生が来て包帯を取ってもらった。
スルスルと頭から包帯が外されると、
なんだかスッキリした。
「傷は完治しましたね」
「ほんまですか?」
「ええ、傷跡も目立ちませんよ」
「なら、リハビリ行きたいんですけど」
「はっはっ、元気やなぁ金橋さん。」
先生にお願いをしまくって、
なんとかリハビリをさせてもらうことになった。
リハビリの先生は、40代くらいの女の人。
「それじゃ、ここの手すりつかまって、
ゆっくり歩いてください」
「はい」
両手を手すりにつかまって足を出そうとするが、
なかなか前に進めない。
歩くことがこんなに難しいなんて。
「...っ、難しい、ですね」
「ゆっくりで大丈夫ですよ、あまり焦らないで」
「いえ、早く退院しないとっ...学校の単位が...」
手遅れだとは思うが、大学は卒業しなければ。
お金を出してくれたお母さんとお父さんが、
泣いてしまう。
「...っ、あっ!」
足元がもつれてしまい、転んでしまった。
膝を強くぶつけるが、意地でも立ち上がる。
「大丈夫ですか!?」
「平気です」
挫けている暇はない。
早く歩けるようになって、
1人で出来るようにならなければ、
周りにも迷惑をかけてしまう。
「...っ...はあ、しんど」
「根張り詰めすぎや、お前」
「え?あ、侑」
歩く練習をしていると、
誰かが私の手に触れたことに気づくと、
ジャージを着ている侑が立っていた。
「先生も驚いてたで。パワフルですねぇ!って」
「なんとでも言え」
「ほんまに意地っ張りやなぁ」
そう言いつつも、側で見守るこいつは、
どこまでも私を支えてくれた。
この日から私のリハビリ生活はしばらく続いた。
138人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黎子(プロフ) - 夕さん» わお、本当ですか!?何回も読んでいただけているなんて嬉しいです!コメントありがとうございます! (2018年4月6日 7時) (レス) id: 1c7dde52b2 (このIDを非表示/違反報告)
夕(プロフ) - 夢主ちゃんと侑のやりとりが おもしろくて何回も読んじゃいます! (2018年4月5日 22時) (レス) id: 29f94e2bfb (このIDを非表示/違反報告)
黎子(プロフ) - カルタさん» 1作目から見てくれているんですね!嬉しいです!ありがとうございます!これからも頑張ります! (2018年3月31日 6時) (レス) id: 1c7dde52b2 (このIDを非表示/違反報告)
カルタ(プロフ) - 「私と彼」「私とあいつ」からずっと好きです!応援してます! (2018年3月31日 1時) (レス) id: 0f60c90d51 (このIDを非表示/違反報告)
黎子(プロフ) - じゅりさん» 私も誤字脱字をやりまくる常習犯です…最高!?本当に!?とても嬉しいですありがとうございます!これからも頑張ります! (2018年3月26日 6時) (レス) id: 1c7dde52b2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:黎子 | 作成日時:2018年3月22日 22時