私と彼 3【宮侑】

11 話を聞いて ページ11

あのあと、バレーは日本が勝った。

見終わってしまうと、ゆっちゃんと治くんは

家の用事が出来てしまい帰ってしまった。





｢(暇やんなぁ、1人って)｣





最近までは、あまり気にしていなかったが

1人になると暇になるようだ。





｢A｣

｢あ｣




開いていた扉から見えたのは、

試合帰りの侑だった。

つい癖で、侑に近寄ろうと思い

ベッドから降りて歩き出そうとすると





｢あっ｣





足に力が入らなくて倒れそうになる。

目をぎゅっと瞑るが、侑に支えられたようだ。

目を開けるとすぐ近くに侑の顔があった。





｢ありがとう｣

｢寝とき｣

｢すごいなぁ、ほんまに衰えるんや｣





抱えられながらベッドに横になる。

先生が言った通り、本当に筋肉は

衰えてしまったようだ。

これはリハビリが大変そうだ。





｢侑、優勝おめでとう｣

｢ふっふ、ありがとう｣

｢そういえば髪型個性的な人おったなぁ｣

｢あー、黒尾さんやな多分｣





どうやらあの髪型は寝癖らしい。

すごい寝癖やな。





｢そういえば、今日精密検査したんや｣

｢どうやった？｣

｢おかしいとこ何もあらへんて｣

｢良かった｣





肩を抱き寄せられ、触れられている手に

そっと手を添える。





｢明日から、多分リハビリあるから｣

｢早ない？｣

｢早い方がええ。｣





それに、明日頭の包帯を取るみたいだし。

早く歩けるようになって、出来るだけ早く退院したい。





｢明日から来なくてええよ｣

｢どうして｣

｢明日が最終日やん｣

｢最終日やから来たいねん｣





耳元にキスを落とされ、何度もそれを繰り返される

あかんて恥ずかしくなってきた。





｢もう、離れて｣

｢無理あるって｣

｢なんで？｣

｢なんでも｣





今度は耳から口にキスをされる。

やめてと手で制止をかけるも、

嫌だと手首を握られてしまう。





｢ちょ、ん、やめ｣

｢ふっふ｣

｢あんな、人の話はちゃんと、んっ｣





人が話しているのにも関わらず、

こいつはわざとキスをしてくる。

ちゃんと人の話を聞け。





｢可愛ええなぁ｣

｢うざ｣

｢本心やねん｣

｢あ！あれ何！？｣

｢え？｣

｢アホや、ひっかかった｣





誰もいない廊下を指さしたら、

なんの迷いもなく後ろを振り返った侑。

ケラケラ笑っていると、

恥ずかしくて顔を覆っている。





｢明日、頑張って｣

｢任しとき。｣

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