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02 回復の兆し ページ2

「A、来たで」

「...」

「監督が、見舞いにって気いきかせてくれたんや。」

「...」

「由香は来れんけど、あとで凛子ちゃん来るって。良かったなあ。」






あれから、約5ヶ月、俺は毎日病室に通い続けた。

こうやって1人で話している所を見て、

みじめだろうと思うかもしれないが、

もしかしたらAが聞いているかもしれないと

思えば、気持ちは楽になる。






「やっぱお前、ガッツあるなあ。」

「...」

「すごいなあ、A」






眠る彼女の手を握りながらここ数ヶ月のことを話す。

数ヶ月前に、庇った少女の母がやってきたのだ。

泣きじゃくってしまい、土下座までされてしまった。






「Aは、命の恩人やて。」

「...」

「恩人がこのまま寝たきりじゃ、あかんやん。」

「...」

「せや、その女の子から飴ちゃん貰ったんやで。
お前の好きな桃やって。」






どれだけ話しかけても、返事はこない。

でも、俺の頭の中はポジティブだった。

死んでいるわけじゃない。

ただ、眠っているだけだ。






「A、近いうちに試合あんねん」

「...」

「絶対に優勝する。テレビ来るから見ててな」

「...」






もうすぐ、日本でバレーの試合がある。

もちろん俺はスタメンだ。





「もう、怪我も少なくなってきたな。」





擦り傷だらけだった顔も、今ではすっかり元通り。

綺麗な肌に戻った。

ほとんど怪我はなくなったが、

致命的な頭はまだ治りきっていないようだ。






「宮くん」

「あ、凛子ちゃん来たでA」

「A、傷良くなったなあ。」

「せやろ?治ってきてるんや。」






Aの顔を見てみると、少しだが笑ってるように見えた。

すると、ぴくっと握っていた手が動いた。






「!!り、凛子ちゃん、先生呼んで!」

「ど、どないしたの急に」

「手え動いた!」

「まじか!!呼んでくる!」






急いで走り出した凛子ちゃんは、

盛大にゴミ箱を蹴り上げたが、

「あとで!」と言って先生の元に走っていった。

病室内走ったらあかんやん。






「もう少し、もう少しや。」

「頑張れA」

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黎子(プロフ) - 夕さん» わお、本当ですか!?何回も読んでいただけているなんて嬉しいです!コメントありがとうございます! (2018年4月6日 7時) (レス) id: 1c7dde52b2 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 夢主ちゃんと侑のやりとりが おもしろくて何回も読んじゃいます! (2018年4月5日 22時) (レス) id: 29f94e2bfb (このIDを非表示/違反報告)
黎子(プロフ) - カルタさん» 1作目から見てくれているんですね!嬉しいです!ありがとうございます!これからも頑張ります! (2018年3月31日 6時) (レス) id: 1c7dde52b2 (このIDを非表示/違反報告)
カルタ(プロフ) - 「私と彼」「私とあいつ」からずっと好きです!応援してます! (2018年3月31日 1時) (レス) id: 0f60c90d51 (このIDを非表示/違反報告)
黎子(プロフ) - じゅりさん» 私も誤字脱字をやりまくる常習犯です…最高!?本当に!?とても嬉しいですありがとうございます!これからも頑張ります! (2018年3月26日 6時) (レス) id: 1c7dde52b2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黎子 | 作成日時:2018年3月22日 22時

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