【募集企画】IDOL in Grand Cross【本編～日常編】 (ページ3)

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にゃんにゃん深更譚/ヴォイド・ルナスページ3

初っ端から、うちの子ばかり出して何様じゃ、お前。
申し訳ないです。次は色んな子を出したいです！
───

ある夜の事。
煌々としたライトの下で、

「にゃ～……流石にもう無理にゃ……」

疲労困憊のヴォイドは、事務所内のレッスン室のだだっ広い床に大の字で寝転んだ。
疲れるのも当然だ。本来のダンス練習に確保していた時間はとっくに過ぎていた。

専属のダンス講師が、もう少しレッスン室を借りたいと申し出るヴォイドに、またかと言わんばかりの呆れ顔で「ほどほどにしろ」と言い残して出ていったのは1時間前の事だ。
それよりぶっ通しで楽曲を鬼リピし、ほぼ休みなしで歌い踊っていたのだから、疲労しない方が無理な話である。

首の汗が伝っていく感触に、脱力しきったヴォイドは顔を歪めた。
やっとのことで床を四つ足で這い、端に置いていたレッスンバッグの中からタオルを引っ張り出したが、再び力なくベシャッと床で溶けた。

右腕を伸ばして、リピートする音楽を止めようと感覚で停止ボタンを探る。押したのは一時停止ボタンだったが、結果止まったので問題はない。

静かになったレッスン室で一人、寝返りを打った。

「……あっ、さっさとシャワー浴びにゃいとスケジュールが押すにゃ……」

頭にしっかり入ったスケジュール表がヴォイドに次の仕事を伝える。次はラジオのゲスト出演だった。

ヴォイドは自身がCMを務めているスポーツドリンクを飲みながら、ボンヤリした頭で何を話そうか考えた。

──次のラジオはGRIMMの持ち番組で、今日の出演はジークだけ。ということは、あいつの饒舌にゃ喋りにブレーキをかけるお仕事にゃ

ジークにだいぶ失礼な事を考えながら、ヴォイドは疲れの溜まった重い身体を起き上がらせてシャワー室に赴いた。

身体を洗い流して少しの仮眠を取ったヴォイドの疲労は、僅かに回復していた。
指定されたラジオブースに向かい、顔を出すと、

「おはようございます。ヴォイドさん」

顔出ししない録音のみの仕事なのに律儀にあの黒マスクを欠かさないジークが、柔らかな笑顔で挨拶をした。

「おはようにゃ」

俺は本当に起きたばかりにゃ、とは言わずに着席する。
深夜放送だからなのかは知らないが、本当に深夜に収録しなくても良いだろうとヴォイドは一つ欠伸をした。
眠そうな眼に気付いたジークは、

「眠気の覚める話をしましょうか？」