祖父が死んだ日から1日後 ページ2
飛行機で2時間かけて、お母さんの故郷に行った。
祖父母の家には寄らずに、そのまま、遺体の安置されている葬儀場まで向かった。
その途中で、祖父の死因を教えてもらった。
急性心不全と肺炎のダブルコンボだった。
急性心不全で身体の酸素濃度が低下する中、肺炎でさらに酸素濃度が低下。
1時間もしないうちに意識を失い、そのまま息を引き取ったそうだ。
心臓が止まっては、動き始め……を繰り返していたそうだ。
意識を失ってからも身体は生きようとし続けていた。
それは、まるで、私より先に飛行機に乗って病院に急行していたお母さんに会うためのようだった。
でも、ギリギリお母さんは間に合わず、
葬儀場に着くと、親族控室まで行き、そこで祖父と対面した。
まるで、寝ているかのような穏やかな顔に、
『朝ですよ』
と言うと、
『ああ、おはよう』
と、返事が返ってくるのではないか……
そう思ってしまった。
でも、死んじゃってるって、わかっているから。
二度と声を聞くことができないって、わかっているから。
わかっているのに、現実を受け止めたくはなかったか。
穏やかに眠る祖父の身体に触れることはできなかった。
この前まで、暖かかった身体が、冷たくなっているって、わかっているから。
でも、そんなことを信じたくなくて。
だから、触れなかった。
触れてしまえば、嫌でも信じなくてはならなくなるから。
『祖父は、死んでいる』
…と。
私は、なんて臆病なのだろう
明日は、お通夜だ。
本当は今日なのだけど、今日は【友引】だから、お通夜をすることができない。
何故できないのかというと、【友引】は、その漢字通り【友を引く】という意味を持ち、祖父のいる冥界に友を呼んでしまってはいけないから、らしい。
明日のお通夜のために、香典返しの品物の準備や、親族への連絡など、たくさん準備をした。
祖母も、お母さんも、叔父さんも、気丈に振る舞って、祖父を送り出そうとしている。
私も見習わなければ。
……でも、涙が止まらないんだ。
……早く止めないと。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 14人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
砂糖・おはぎ(プロフ) - 私も同じ時期に祖母が逝ってしまいました。泣きたかった、最後にお話したかった、でもその願いは届かない。そう思いました、祖母は昔から料理が得意だったので唐揚げ食べたかった、という気持ちがあります(笑)私よりバニランテ様が凄いです！ (2022年10月24日 16時) (
レス) @page6 id: a1bf729603 (このIDを非表示/違反報告)
脅威のセラフ@wrwrdファン(プロフ) - 御冥福をお祈りいたします (2022年6月13日 1時) (レス) id: 602d714d2e (このIDを非表示/違反報告)
バニランテ(プロフ) - 乙桜☆Sakuraさん» ありがとうございます。乙桜様も祖父を亡くされたばかりで大変だと思います。どうか、乙桜様もお体にお気を付けください。 (2022年5月23日 21時) (レス) id: 5bf5c9043b (このIDを非表示/違反報告)
乙桜☆Sakura - 大変なこともたくさんありますが、どうか、お体にだけはお気をつけてください。長々と失礼しました。 (2022年5月23日 21時) (レス) id: 99a656ca9c (このIDを非表示/違反報告)
乙桜☆Sakura - 私も3月半ば頃に祖父を亡くしました。うちの場合は父方の祖父ですが、、、お酒も飲まない、煙草も吸わない、毎日ウォーキングしていて、健康優良児、、でした。年齢的にもまぁまぁ、、、って感じでしたが。この前日にホワイトデーのお返しを貰ったばっかりでした。 (2022年5月23日 21時) (レス) @page5 id: 99a656ca9c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
