グランド・フィナーレ〈赤〉 (ページ2)

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変えられないページ2

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アパートを出て駅まで二人で歩くこの朝の時間が、
一日で一番幸せな時間。

春の終わりがけ。

梅雨の入り口。

陽射しは温かいけれど、遠くに暗い雲が見えた。

「ちょっと待ってな」

ごみ捨て場にごみを投げ入れて、
すぐ側で立ち話をしていたおばさん達に挨拶した。

僕達が再び歩き始めると、彼女達の声が聞こえてきた。

「ほんまに仲良い兄妹やね、あの二人」

何気無い一言に、チクリと、胸が痛む。

体が一気に重たくなったような感覚に陥った。

大きく息を吸って平静を装う。

「お兄ちゃん、どうかした？」

心配して覗き込んできた彼女の吸い込まれそうな彼女の瞳に、
一瞬言葉が詰まる。

すっと、視線を逸らして大丈夫、と呟いた。

どんなに彼女を想っても、愛しても、
僕達は「仲の良い兄妹」だ。

これは変えられないし、変えてはいけないことなんだ。

「兄妹」である以上、「恋人」にはなれない。

傍から見たら、恋人に見えへんかなって。

恋人に間違われたい、という僕の淡い期待は、
今日も簡単に散った。

七個も下の、実の妹に恋してる。

小さい頃から大好きだった妹。

この「好き」が、
恋だと自覚するのにそう時間はかからなかった。

何時から好きになったかなんて、考えたくないけれど。

でもいつの間にか、後戻り出来ない程に、
愛していた。

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