欠片 ページ7
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淳太side
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落ち着きなく、ソファに浅く腰かけているとインターホンが鳴る。
すぐにドアを開けると、そこには弱々しく笑うしげの姿があった。
「何か、痩せた？」
「え、そんなことないで」
明らかにやつれた顔をしたしげをとりあえず座らせる。
会う約束をするメッセージのやり取りの中で、
しげが指定したのが俺の家だった時点で、
何となく予感がしていた。
外では話せない、何かがあったんやって。
俺は教師で、あくまでしげのことを応援するのは正しくないと。
分かってる。
でも、
「淳太、好きな人から好きって言われるって、
こんなに嬉しいんやな」
高校の時からずっと、
しげの親友として見てきた身からすれば、
そうやって微笑むしげを見て、何も言えなくなる。
しげから事の顛末を全て聞いて、
正直信じられない、という気持ちの方が大きかった。
Aからしげへの好意を感じたことが無かったから。
そんなことは、しげには言えないけれど。
ただ、この間聞こえてしまったAと小瀧の会話については、
ようやく合点がいった。
なら、Aが小瀧をしげの代わりとして見ていたのは本当なのか。
でも、違和感は消えない。
「なあ、淳太。怒ってええよ、僕のこと」
「怒らへんよ、」
「犯罪者やで。高校生の、しかも妹に手出すなんて」
「一応Aも18歳やし、」
「ええんかな。ほんまに、このまま進んで」
そんなしげの問いかけに、俺は言葉を詰まらせる。
「Aのこと、ほんまに好きや。
でも、Aからの好意は、嬉しいけど、…何より怖いねん。
今の関係の方が、物理的に距離は縮まってるはずなんに、
家族やった前の方が、Aを近くに感じてた気すんねん」
「しげ、」
「毎日、家に帰るのが少しだけ怖い。
何考えてるか分からんAと、
どんどん家族やなくなっていくんが、怖い」
しげの震えた声に、そんなことない、気の所為や、と、
言うことは出来なかった。
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作者名：みなみ | 作成日時：2023年6月20日 16時
