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神様なんて、いないって。
この世界の何処にも。
でももしも、僕の願いを叶えてくれる存在が何処かに居るなら、
Aに、会わせてください。
もう一度、Aに触れさせてください。
A、僕も愛してる。
だから、戻ってきて。
離れるなら、せめて、期限付きで、
会おうと思えば会える所で、
時々は会いに来てくれて、
そして何より、ちゃんとさよならをさせて。
離れることは、必要だって。
確かに僕も思っていた。
けど、こんな別れはだめなんだって。
僕らは、確かに愛し合っていたのに。
震えながらフローリングに倒れ込んで、目を瞑り、
Aの顔を、思い浮かべる。
そして気付く。
思い出せる彼女の顔は、
苦しいもの、切ないもの、ばっかりだって。
ああ、そうか。
そういうことか。
とっくに腐ってた。
ならば、この終わり方は、もっとずっと前から、
決まっていたことなのだろう。
僕が招いたものだ。
それならば、避けることが出来なかったのなら、もう。
この終わりが、僕らのあるべき姿だったんだ。
これが、僕らの道の、果てだったんだ。
置き書きをもう一度見て、ふと気付く。
最後に彼女が、僕をお兄ちゃんって呼んだのは、いつだったっけ。
もうずっと呼ばれてへんな。
荒い呼吸をしながら目を閉じても、
彼女が僕を呼ぶ声はもう、再生できなかった。
Fin＿
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作者名：みなみ | 作成日時：2023年6月20日 16時
