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｢私たちは、やっぱりどう頑張っても幸せになれないんかな｣
｢Aっ、｣
｢それは、兄妹やからとかやなくて｣
Aは、それっきり何も言わなくなった。
兄妹だから、ではなく、僕らが幸せになれない。
Aが言ったその言葉の意味は、理解したくなかった。
今置かれている環境。
住んでいる街。
年齢の差。
僕の性格とAの性格。
そして、もう一人の、目を覚まさない存在。
全てが薄く積み重なって、
僕とAの間に壁としてそびえ立つ。
僕たちは、もしも他人として出会っていても、
両想いにはなれても、結ばれない運命だったのか。
そんな悲しいことって、あるだろうか。
兄妹でさえなければ、絶対に幸せだったのに。
そう言い切ることが出来れば、兄妹のままだとしても、
きっと今、僕たちは幸せだっただろう。
でも、そう言い切ることができない僕たちは、
今ここで、二人息をしていて、いいのだろうか。
Aの幸せを願ってきたのに、不幸にしているのはきっと僕だ。
このままだと、Aの人生は、心は、壊れてしまうんだろうか。
きっと、僕の心はもうとっくに壊れていたよ。
｢冷蔵庫、入れようか｣
そう呟いたAの声はすごく小さかったけれど、
もう震えていなかった。
ぐちゃぐちゃに潰れ、
どろどろにクリームが溶けてしまったそれを、
今から冷蔵庫に入れたって、きっと食べられない。
Aも、分かってるだろう。
それなのに、捨てられないんだ。
A、僕は、君を。
愛してるんだって。
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作者名：みなみ | 作成日時：2023年6月20日 16時
