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足が止まって、息も止まる。

どうしようもなく苦しいのは、
息が上手く出来ないからでは無いと思う。




顔を俯かせているAはきっと泣いていて、
隣の彼奴はそんなAに心配そうな顔をして、
何かを話しかけている。





お前がAを傷付けたのに、
どうして涙を流すAの隣にお前が居るん。



公園を凝視して立ち尽くす僕を、
不思議そうな目でじっと見つめる子供が、
一瞬僕の視界からAを隠す。







ああ、Aはきっとずっとこうして彼奴と会っていたんだ。


ここ最近の、Aの外出の理由がやっと腑に落ちた。



頭は意外と冷静だった。









僕の代わりだったはずの彼奴は、
きっととっくの昔に、Aも気付かぬうちに、
本物になってしまっていたんじゃないかって。



自分の中にある、
これまでの全部の不安と苦しさと疑問を繋ぎ合わせて、
勝手にAの気持ちの答え合わせをした。









アパートの玄関に入った瞬間に、
ふっと全身の力が抜けて、立っていられなくなって。

僕は靴を履いたまま、玄関の段差に座り込んだ。




さっきまで、揺らさないように、と大切に大切に運ばれていた白い小さな箱は、持ち手が歪んでいる。



大股で歩いてきたせいで中身もぐしゃぐしゃだと思う。







すぐにあの公園に入って、声をかけて、
問い詰められるような、

人間だったら。

関係だったら。





僕の弱さと立場は、やっぱり大事な時にいつも僕の邪魔をする。




遠くから眺めて、絶望して、
Aの言葉を聞かずとも全てを勝手に理解して、
僕は涙を流すことすら出来ないまま、
強い西日に背を向けて座り続けた。










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作者名:みなみ | 作成日時:2023年6月20日 16時

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