グランド・フィナーレ〈赤〉第二章 (ページ3)

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がんがん、と。

鈍器で頭を殴られたみたいな衝撃が走って。

水中に落ちていくかのように、音が遠くなっていった。

「そ、うなんや」

「うん。でも何となく二人の邪魔になるような気がして、
言えなかったんやけど」

「…邪魔、なんてそんなん…」

「大ちゃんにそう言ってもらえて、何かすっきりした」

「そうか…」

この時、僕は気付いてしまった。

自分の中で渦を巻いている、真っ黒な感情に。

Aと流星が笑い合う姿を想像しただけで、痛む胸に。

ああ、僕は、Aが好きなんや。

兄として、家族としてではなくて。

流星と同じ気持ちで。

情けない、恋心の発現だった。

他人の想いを聞いて、初めて自分の気持ちに気が付くだなんて。

その日からだった。

僕が、流星の存在を疎み始めたのは。

子供のように嫌がらせをしたり、
流星に直接何かを言った訳では無い。

でも、心の中ではずっと。

真っ直ぐにAを想える流星の立場を妬み、
その想いを嫌悪した。

それでも、Aと僕の時間は減り、
流星とAの思い出は増えるだけで、
僕は勉強に気を向けつつも。

グシャグシャに破かれたノート。

折れたシャープペンシルの芯。

隠しきれない焦燥が、部屋に溢れて、
僕の心は黒く塗れていく一方だった。

流星の存在と、僕の恋心の無謀さは関係がないのに。

流星が居なければ。

そう、思ったんだ。

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