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「月曜日、学校行ったらその写真が拡散されてて…
いつも一緒に居る友達に聞いたら、
日曜の夜に急に学校の裏サイトに晒されてたって…」
僕の怒りに震える手を、淳太がそっと抑えてくれる。
「それで、キスしてる相手は、多分兄だと思う、とも、
書き込まれてたらしくて。
私たちの事見て、そう分かるのは、
小中同じ人しか居らんと思う…
多分、あの公園に居合わせたのはほんまに偶然で…」
軽率な自分を後悔する。
そんな僕の気持ちを知っていてだろう、
淳太は一度も僕を責めることはしない。
「ごめん、A、ほんまに…」
「ううん…キス、したのは私からやし…」
車で四十分くらい離れた所だろうが、
きっとこの部屋以外、この世界には、
僕たちの居場所は無かったんだ。
白い睡蓮の前で、
きっと今なら僕達も清く居られるって思ったのは、間違いで。
僕たちはやはり、汚い色に染めて他人から見られてしまうのか。
「まあ、あくまで兄だっていう断定的な証拠は出てへんし、
Aの周りの友達は、Aと普通に接してくれてる。
Aは可愛ええし、成績も良くて注目されやすいから…
今は広まってもうて、心無い言葉も掛けられるかもしれへんけど…
…とにかく時間が経って、噂が収まるの待つしかないと思う」
ずっと黙って話を聞いていた淳太のそんな言葉は、
確かに正論だった。
でも僕は、僕のせいでAが、
どんな言葉をかけられているのか、想像しただけで怖くて、
どうしようもない。
「A、週末にはもう夏休みや。
あと三日間だけ、頑張れる？」
淳太が穏やかな声でそう聞く。
「行けへん、」
立てた膝に顔を埋めて、Aは小さくそう言った。
「でも、今休んだら休み明けもっと行きづらくなると思うねん」
再び淳太がそう声をかけてみると、
Aは顔を少し上げて、言った。
「汚い、って言われた。何も知らん人に。
他にも、キモいとか、兄妹やのにとか、…もっと酷いことも…」
「A…」
「とにかく、行きたくないの。
…夏休み明けたら、ちゃんと行くから…」
Aが吐き出した苦しみに、
僕と淳太はかける言葉を見失って。
Aは結局学校に行かないまま、夏休みを迎えた。
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作者名：みなみ | 作成日時：2023年6月20日 16時
