グランド・フィナーレ〈赤〉第二章 (ページ19)

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淳太が差し出した携帯の画面には、
あの睡蓮の池の前のベンチでキスをする僕たちが、
木と木の隙間から写し出されていた。

撮影されているのは僕の背中側からで、
遠目ではあるが、Aの目元が映ってしまっている。

「今は一応、学校の裏サイトの写真はもう消してある」

「ありがとう、淳太…」

あの電話の後、淳太はすぐに家に駆け付けてくれた。

ソファにAを座らせ、僕たちは冷めきった夕食が並んだままのダイニングテーブルの上に向かい合って座っていた。

「ただ、…スクショ？とかされてるやろうから油断は出来ん。
誰がやったかまでは特定出来ひんかったし」

「…そっか」

「A、学年のやつに心当たりは？」

黙って首を振るA。

「とりあえず、しげの顔ははっきり写ってへん、
けど…相手が兄だってことが噂で流れてる」

「何でそんな…」

「俺も分からん。
A、しげの職場とかの話、学校で誰かにしたことある？」

Aはまた首を振った。

「なら、名前も顔も出てへんし、
この写真だけやと俺ですらしげって分からん感じやから、
しげの会社にまで話が流れたりっていう心配はないと思う」

不幸中の幸いではあるものの、
危機的な状況であることに変わりはない。

「…多分、同じ中学やった誰かやと思う」

沈黙を貫いていた彼女が、
くぐもった声でぽつりと話し始めた。

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