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美醜 ページ15
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うだる様な暑さに、
ネクタイを乱雑に緩めて、僕は足を早めた。
日は長くて、まだ外は明るい。
季節は、すっかり夏本番になっていた。
僕とAは、僕の迷いが消えたからなのか、
一緒に寄り添って上手く歩けるようになってきていた。
「ただいま」
「おかえり〜！」
前までのような明るさも、二人の間に、
少しずつ戻ってきた気がする。
変わったことといえば。
「A、これどうしたん？」
リビングのテーブルに置かれている、
知らない男の名前が書かれたノート。
「ああ、私が明日までの課題終わってへんって言うたら、
隣の席の人が貸してくれてん」
「そっか、」
「うん」
前までは、上手く隠せていた嫉妬が、
どんどん隠せなくなっていること。
以前は、Aとは恋人にはなれない、と。
僕はあくまでAの彼氏では無い、と。
言い聞かせていたから、嫉妬や束縛なんてしないようにしていた。
けれど最近は、
Aと、ちゃんと一緒に歩けるようになってきたからか、
欲張りな自分が顔を出して。
高校生活を送るAの些細なことにも嫉妬してしまう。
本当はこんなことしたくないのに、
我儘な僕は自分を抑えられない。
ああ、僕はいつからこんなに小さくなってしまったんだ。
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作者名：みなみ | 作成日時：2023年6月20日 16時
