最後の決意 ページ14
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「私と居らん方が幸せなん？」
静かに息を呑む。
「何で、」
「私たち、何で好き同士なのに、こうなってまうんやろ」
お腹に回るAの手が、冷たくて、悲しくて、何も言えない。
「ああ、好き同士やからか」
何も言わない僕に、Aは一人で納得したように呟く。
「僕たち、…やっぱり」
家族のままで居った方がええと思う。
壊そうと行動し、ここまで来たのに、
言葉の続きが出てこないのは、僕の弱さ。
「昔から変わらんね、」
続きを悟ったAが、寂しげに笑う。
その表情に、僕の心がぼろぼろと崩れ落ちて。
「A、ごめんっ、Aっ…
やっぱり無理やっ、Aと居りたい、
Aだけが好きやっ、」
一度伝えてしまえば、堰を切ったように、
Aに言いたかった本当のことだけが、次々と溢れてきて。
お腹の所にあるAの手を握りしめて、
Aの温もりを感じたまま、初めてAの前で泣いた。
顔をぐしゃぐしゃにして、嗚咽しながら、子供みたいに。
その間、Aは何も言わずに、
僕の背中に頭を預けたままだったけれど、
僕の素肌を雫が滑っていく感触がした。
僕は何度遠回りや、迷いを繰り返すんだろう。
もう、後戻りは出来ないなんて、
とっくに分かっていたじゃないか。
もう、A無しでは、生きていけないんだって。
以前も似たような決断をした気がする。
難しいことからは目を逸らして、
Aとの幸せをただ見つめようって。
でも、今回は違う。
もう絶対、Aを離さない。
僕は、どんな闇の中でも、どんなに苦しくても、
それも全部含めて、Aだけを愛するんだって。
だから、Aも、僕の手を。
お願いだから、離さないでいて欲しい。
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作者名：みなみ | 作成日時：2023年6月20日 16時
