ツガイなんて知らない 5

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『さっくん…』



佐｢恋人になりたいよ。毎日Aのことでいっぱいで、Aのことしか考えられないもん。

Aのことずっと笑わせて、幸せにしてあげられる自信はある…｣



『………』



佐｢でも…、どんな時でも守ってあげられる自信は、ない｣



『さっくん…』



佐｢昨日みたいにαに絡まれても、黙ってるのが最善だと思う。だけどどうしても我慢って出来なくなるし、限界が来るでしょ…。

そんな時だって周りは俺たちΩのことを見て見ぬふりするし、苦しい思いをすることになる…｣



『……』



佐｢俺がAの隣に居たら、それがもっと増えるんだよ…？ただでさえ俺はΩで、ヒートで影響し合うリスクもある。

そんな俺なんだよ…A…。それでも俺と…｣


『付き合いたいよ』



佐｢……っ｣



『何があってもさっくんとなら大丈夫…。乗り越えられる。

幸せも苛立ちも、全部半分こしよう。今までの辛いことも、全部2人で共有すれば半分になるよ』



佐｢＿＿なんでそんなに強いんだろうね…Aって…｣



『………強い…』



佐｢うん…｣



『さっくんと一緒に居るから強くなれたんじゃないかな…。

たくさん考えて悩んで、私に思いをぶつけてくれるさっくんの力になりたいって、思えるからだよ』



佐｢……ほんっとにすき。俺も、守れるようになるから…｣



『もうたくさん守ってもらってるよ…？ありがとうさっくん』



さっくんがしてくれたように、今度は私が彼の背中をさする。



体を離してじっと私を見つめるさっくんの目は潤んでいて、少し鼻声でこう言った。



佐｢付き合ってください｣



返事はただ1つ。



『うんっ、もちろんです』

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