なんだかんだ可愛がられる紅一点 6

231 多事多難〇 ページ16

『お疲れ様でしたー！』


｢お疲れ様ですー｣

｢お疲れ様です｣



周囲のスタッフさんに挨拶をしながら去ったスタジオ。



Snow Manの紅一点、いやジャニーズの紅一点という立ち位置で呼んでもらった番組の撮影だった。



正直散々だった。バカにされたように感じるなめられたいじり方と発言ばかり。MCだってお世辞にも良いとは言えなかった。



どの分際で言ってるんだと言われるかもしれないけど、女だからとなめてかかってくる芸能人は多すぎる。



『……ちゃんと挨拶して出ていっただけでも偉い私…』



｢その通りです。よく泣きませんでしたね、A｣



『泣きはしないけど、すごくムカついたね』



｢他のメンバーやドラマの共演者といる時はそうでもないのに…。この番組のプロデューサーは警戒しておきますね｣



『ありがとう』



｢やっぱり男子が居るのと居ないのとでは違います？演者さんからの視線とか、対応とか｣



『そうだね、メンバーといるとSnow Manとして見てもらえるけど…1人だと女性アイドルって感じで扱われるかな』



｢悔しいな…｣



『私がもっとトークを頑張ればいい話なのかもしれないけどね！』



｢A…｣



マネージャーが悲しそうにするのは見ていられなくて、気丈に振舞って帰りのタクシーの手配を頼んだ。



荷物をまとめて1人で楽屋を出ると、角で何やら話し込んでいる男の人が2人見えた。



多分さっきの収録にもいた人だ。私の名前がかすかに聞こえた。



｢Snow Manからもう1人出してもらうべきだったかな。やっぱり女1人じゃなあ｣


｢いまいち盛り上がりにも欠けた｣



『……』



そんな内容を誰かに聞こえるような場所とボリュームで喋るなよと呆れたものの、段々と湧いてくるのは怒り。



仕方ない。私の実力不足のせいもある。他の出演者との相性も悪かったんだ。まだまだ改善の余地がある…。




｢ジャニーズとはいえ所詮女だしな。世の中も過大評価しすぎだろうよ｣


｢そうかもな｣



『＿＿ご迷惑おかけしてすみません』



｢｢あ…！｣｣



『今度はぜひ、うちの自慢のメンバーも呼んでいただけると嬉しいです。今日はお疲れ様でした』



｢お、お疲れ様…｣



『失礼します』



アイドルで良かった。ファンの皆が1番に浮かぶ頭で良かった。



じゃないと、口喧嘩でもして干される所だった。

232→←230

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す