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深｢A｣
『っ、辰哉先輩…』
深｢ん、いるよ。大丈夫大丈夫｣
『は…っ』
先輩の手から逃げたのに、それでも追いかけてきてくれた。
絶対に先輩だって苦しいはずなのに私を優しく抱きしめて背中をずっとトントンしてくれている。
私の名前を呼ぶ声がこんなにも心地がいいのは、彼氏だからという理由だけではないと思う。
ヒートの苦しさと興奮が収まる兆しは全く感じられないのに、どこかでこの人と居るだけで大丈夫だと思ってる。
深｢A｣
『……？』
深｢ごめん、嫌だったら引っぱたいて｣
『え…、っう』
辰哉先輩の唇が重なるのはこれで2度目。直前に見えた先輩の目はやっぱり少しギラついていた。
でも、何度も蘇るあの時の記憶に比べたら、今のこの時間はなによりも甘く感じて、頭がふわふわし始めた。
『ぅ、ん…』
深｢口開けて…、すぐ楽にしてやるから｣
『っ、』
差し込まれる舌の感触も熱さも、後頭部に回る手も全部が優しい。
嫌だったら、なんて言われたけど、これっぽっちもそんなこと思わない。どんどん楽になっていく自分の体に安心さえ覚える。
『ぁ…』
深｢っ…嫌じゃなかった…？｣
『…っ』
言葉が出なくて思い切り首を縦に振ると、まだ理性を失ったように目がボーッとしている先輩は力が抜けたのか息を吐いて私を抱きしめた。
深｢……｣
『辰哉先輩…、ありがとう…っ』
深｢んー…？｣
『私のヒート…抑えるためだけにキスしてくれて…、嬉しいんです…。酷くしないように我慢してくれてますよね…？』
深｢…我慢…ねぇ…｣
ぎゅっと抱きしめる力が強くなった。当たりだったんだろうか。
深｢なんでわかっちゃうのかなあ、俺のこと…｣
『…なんとなく、ですけど…』
深｢俺もわかるよ…、A逃げた時、俺に申し訳ないって思っただろうなって｣
図星だ。
αとΩだから？ 多分違う。
恋人だから？ これも違う。
深｢……｣
困ったように笑って私のうなじをそっと触る辰哉先輩。
『辰哉先輩…？』
深｢俺たちね、運命のツガイなんだよ｣
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紅彩(プロフ) - わーぉさん» こちらこそ読んでいただきありがとうございます！引き続き頑張って更新していただきます。お気遣いありがとうございます！ (2021年8月29日 14時) (
レス) id: 4196f501cf (このIDを非表示/違反報告)
わーぉ(プロフ) - 素敵な小説をありがとうございます！更新されるのを毎回楽しみにしていました。次のお話も気になり待ち遠しいです！無理なくよろしくお願いいたします！ (2021年8月29日 13時) (レス) id: 88cbea371f (このIDを非表示/違反報告)
しゃも(プロフ) - お返事ありがとうございます。応援してます。 (2021年8月29日 13時) (レス) id: 9144ae481b (このIDを非表示/違反報告)
紅彩(プロフ) - しゃもさん» ありがとうございます！そう言っていただけると嬉しいですし、次も頑張れます。引き続きよろしくお願いします！ (2021年8月29日 10時) (レス) id: 4196f501cf (このIDを非表示/違反報告)
しゃも(プロフ) - 楽しみすぎて更新が待ち遠しい程でした。次も楽しみにしてます！、 (2021年8月29日 10時) (レス) id: 9144ae481b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅彩
| 作成日時：2021年8月9日 20時
