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『は、あ…っ…』
急に心臓辺りがギリギリと痛くなり、先輩の声が頭の中で響いてしっかり聞き取れなくなった。
先輩はうずくまる私を心配そうに覗き込んでくれるのに、それにさえ返事が出来ない。
直感で、ヒートだと分かった。
体の芯が熱いような痛いような感覚で、これが本当のヒートなんだと気づく。
深｢A、深呼吸しろ、いい？｣
『はっ…、たつや…、せんぱい…』
深｢っ！｣
先輩の名前を呼べば、なんとかしてくれるんじゃないかと思った。
どれだけ心配事があっても安心を与えてくれる辰哉先輩だから。
だけど、合った視線はいつもの先輩のものじゃ無かった。
あの時と同じ。私が初めてヒートを起こした時に、理性を失っていた時の、あの目。
『あ、あ…』
自分のヒートが静まるならこのまま先輩に身を任せてもいいのかもしれない。
でも、またあの時と同じように辰哉先輩が申し訳なさそうに謝るのは嫌だ。
迷惑は、かけたくない。
深｢A…｣
『ごめ、なさい…っ』
伸びてくる手から逃れて、近くの教室へ入った。
幸い今は誰も居ないし、ドア1枚ぐらい隔てていれば辰哉先輩も落ち着きを取り戻してくれるかもしれない。
私だってこのまま時間がたてば、ヒートが少しでも収まるかもしれない。
『はっ…、はぁ…』
逃げたせいで嫌われたらどうしようという思いがどんどん強くなってくる。
嫌だ。でも私のヒートのせいで辰哉先輩が悲しくなってしまうのはもっと嫌だ。
『……う…』
息があがっていく。体の奥がどんどん熱くなる。
性的興奮をおぼえるって聞いてはいたけど、いざそうなるとなんとも言えないほど気分が悪い。そのせいで涙もボロボロ溢れてくる。
『たつや先輩…っ』
自分から逃げておいて無意識に身勝手な言葉を口にする自分に腹が立つけど、でも、どうしても求めてしまうのは＿＿。
｢大丈夫、俺はここに居るから｣
『ぁ…』
深｢辛いよな、こんなに泣いちゃって…。もう大丈夫、俺がなんとかしてあげるから｣
座り込んでいた私を辰哉先輩はいつの間にか抱きしめて、ゆっくり背中をさすってくれていた。
見上げた先には、いつも通りの優しい辰哉先輩の顔があった。
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紅彩(プロフ) - わーぉさん» こちらこそ読んでいただきありがとうございます！引き続き頑張って更新していただきます。お気遣いありがとうございます！ (2021年8月29日 14時) (
レス) id: 4196f501cf (このIDを非表示/違反報告)
わーぉ(プロフ) - 素敵な小説をありがとうございます！更新されるのを毎回楽しみにしていました。次のお話も気になり待ち遠しいです！無理なくよろしくお願いいたします！ (2021年8月29日 13時) (レス) id: 88cbea371f (このIDを非表示/違反報告)
しゃも(プロフ) - お返事ありがとうございます。応援してます。 (2021年8月29日 13時) (レス) id: 9144ae481b (このIDを非表示/違反報告)
紅彩(プロフ) - しゃもさん» ありがとうございます！そう言っていただけると嬉しいですし、次も頑張れます。引き続きよろしくお願いします！ (2021年8月29日 10時) (レス) id: 4196f501cf (このIDを非表示/違反報告)
しゃも(プロフ) - 楽しみすぎて更新が待ち遠しい程でした。次も楽しみにしてます！、 (2021年8月29日 10時) (レス) id: 9144ae481b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅彩
| 作成日時：2021年8月9日 20時
