拾って (紫)

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『え…いいの…？』



深｢うん、聞いて欲しい｣



『なら、聞く。ちゃんと聞きたい』



深｢ありがと。

＿＿俺ね、人間不信気味なの。最近はちょっと落ち着いてるけど｣



『人間不信…』



やっぱり、人間関係で何かあったのかなっていう予想は当たってた。



“人間なんて、結局自分が1番なのに”とか言うぐらいだもんね…。




深｢俺1年ぐらい前まで滝沢商事の営業やってたのよ｣



『は！？あの滝沢商事！？』



深｢そーなんですよ、あの天下の滝沢商事｣



『やっば…』



静かに聞くつもりだったのに、とんでもない爆弾が落とされたせいで叫んでしまった。



滝沢商事って言ったら日本を代表する商社の一角で、


私が所属しているスノ商事も名前を並べられることが多いけど、相手は別格中の別格。



本当のエリートしか入れないような会社。



『あ…、だからお金はあるの…？』



深｢そう！ちゃんと貯金してたんだよねー、俺偉い｣



『滝沢の営業は高給取りって聞いた事あるけど…ほんとだったんだ…』



気持ち引き気味で呟くと、俺はまだまだだけどねーとか謙遜し始めた。



いや、出会った時に着てた服ハイブランドだなってずっと思ってたよ。



バカみたいに稼いでたな、さては。




深｢27になるまで順調に働いてたんだけどさ｣



『うん…』



深｢上司のミス、俺が被ることになっちゃって｣



『……』



深｢そのまま色々あって弁明の余地がないまま辞めた｣

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