公開して後悔 ページ13
『…ずるい』
「んぁ？」
『私がヤスくんのこと大好きって分かってるから冷たくするの？
冷たくされても好きだもん。優しいところも、あったかいところも知ってるから、冷たくされても好きだもん』
一言。ずっと突っかかっていたものがぽつりと溢れれば、そのまま止まらなくなった。
『…冷たくするのは、嫌いになって欲しいから？』
「それは、」
『私にだけ冷たくするのも、周りに彼女だって言わないのも、他の女の子といちゃいちゃするのだって…もういいって、諦めて欲しいから？』
反応が怖くて、否定も肯定も聞かないまま矢継ぎ早に話す。俯いたままでいたから、視界にはヤスくんに掴まれた手。その手に、わずかに力がこもった気がした。
ヤスくんがどんな表情をしてるのか分からない。怒ってる？困ってる？呆れてる？
『好きって言わないのは、そう思ってないから？』
掴まれた手をそっと引くと、そのまま離れた。
一歩後ろに下がって、勇気を出して顔を上げる。
「…A」
『っ…ヤスくんは、ほんとに、ずるい』
なんで？今、そんな顔するの？
「Aっおれ、」
『やだ…もっ、帰る…ばいばいっ』
「まって…」
ヤスくんに背中を向けて、たくさんたくさん走った。
無我夢中で走ったから、電車に乗ってから息切れしてる自分に気付いた。意外と体力あるんだなって自分自身を客観視してる余裕があった。
『あれは、喧嘩…なのかな』
徐々に実感してくる、先ほどの出来事。
ヤスくん、傷ついた、みたいな顔してた。
ほっとかないで、おいてかないで、って顔してた。
あそこで、そんな顔をするヤスくんは、ずるい。
ヤスくんの気持ちを聞かずに逃げた自分はもっとずるい。
『その場の勢いなんかで言わなきゃよかった…』
ずっと気付いてない、バカな振りしてればよかったのに。ヤスくんの恋人って、根拠のない自信持ってればよかったのに。
自分勝手に気持ちぶつけて、なのに聞くのは怖くて。受け止める準備もしないままあんなこと言った自分。ばか。あほ。ばか。
『明日からどうしよう…』
ベッドの上で、ヤスくんに電話するかしないか、LINEするかしないか、お弁当を作るか作らないか、謝るか土下座するか、たくさんたくさん考えたけど、どれも答えを出すことはできなかった。
なかなか寝付くこともできず、結局何も行動できないままでいると、いつのまにか寝てしまっていた。
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蒼乃碧(プロフ) - 素敵なお話ありがとうございました！そして…完結おめでとうございます！コメントを拾って下さって本当に嬉しかったです！ (2020年2月12日 21時) (
レス) id: b2e7866667 (このIDを非表示/違反報告)
おゆ(プロフ) - ゆんゆさん» ゆんゆさんコメントありがとうございます！無事完結することができました^ ^ (2020年2月12日 20時) (レス) id: c48463ca18 (このIDを非表示/違反報告)
おゆ(プロフ) - みきさん» みきさん！毎回更新の度にコメントして下さってありがとうございました！わたしも最後まで更新できてうれしいです…！！！引き継ぎどうぞよろしくお願いします^ ^ (2020年2月12日 20時) (レス) id: c48463ca18 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 完結おめでとうございます！主人公のこと大好きなヤスくんが読めて嬉しいです！今後の作品も楽しみにしています！ (2020年2月12日 7時) (レス) id: d5b4f7ed9e (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 更新ありがとうございます！読めるだけで嬉しいです。続きも楽しみにしています！ (2020年2月3日 7時) (レス) id: d5b4f7ed9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おゆ | 作成日時：2019年8月4日 0時
