なれそめ ページ1
『ヤスくんが好きです！！！』
高3。3月。卒業式。
クラスの人気者、安田章大くんこと、ヤスくんに告白した。地味な私にも優しくしてくれて、クラスの中心にいるのに、いつも端にいる私も輪に入れてくれて、ずっと憧れてた。
卒業式の日、人気者のヤスくんに空いてる時間なんて存在しなくて。ずっと待ってるからって無理やり伝えて、誰も居なくなった教室に来てくれたヤスくんは、心なしか疲れているように見えた。
「あー…またか」
『え？ま、また？』
「そ。また、やで？」
だるー！と言いながら適当な机の椅子に座るヤスくん。あ、あれ？ふわふわ天使なヤスくんは何処へ。
「見て？ぜーんぶボタンあらへんの。渡したんやないで？引きちぎられてん。ぜーんぶ。」
『そ、そうなんだ…』
「好きだの、卒業しないでだの、呼び出しくらっては言われて、泣かれて、ニコニコしながら断るんもいい加減しんどいわ」
『っ…ご、ごめんなさい……』
いつもと雰囲気の違うヤスくんに戸惑っていたけど、「しんどい」という一言を聞いて、思わず泣きそうになった。
告白することは自己満足だったけど、見返りなんて求めてなかったけど、それすらも迷惑だとヤスくんが感じるのならば、言わなければよかった。
泣いたらもっと迷惑をかけるし、嫌な気持ちにさせる。ここに来てくれたことだけでも有難いと思わなきゃ。そう言い聞かせて、涙をグッと堪えた。
「…泣かへんの？」
『っ、泣かないよ！来てくれてありがとう！それだけでも…嬉しかった、です』
机に頬杖ついて、小さく首をかしげる。
つまらなさそうに唇を尖らせた後、なにかを思い立ったようにヤスくんが急に立ち上がった。
「ええよ」
『ごめんね、わざわざ来てもらって…』
「あー、そういう意味やなくて、返事」
『…返事？』
ヤスくんの言葉をイマイチ理解できなくて聞き返すと、不意に視界がヤスくんのドアップに。唇に何かが触れた感触と、目の前には楽しそうに、ニヤリと笑うヤスくん。
「俺のこと好きなんやろ？付き合ってもええで、ってこと」
『え…うそぉおおお！？！？』
「なん？嫌なん？」
『や！じゃない！え、ええええ…///』
突然のことに頭が追いつかない。
付き合ってもええで、って、ヤスくんが彼氏、ってこと？さっきの唇の感触は、ヤスくんの、ヤスくんの、ヤ、ヤスくんの…ああああ///
そんなこんなで、晴れてヤスくんの彼女になることができた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 636人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蒼乃碧(プロフ) - 素敵なお話ありがとうございました！そして…完結おめでとうございます！コメントを拾って下さって本当に嬉しかったです！ (2020年2月12日 21時) (
レス) id: b2e7866667 (このIDを非表示/違反報告)
おゆ(プロフ) - ゆんゆさん» ゆんゆさんコメントありがとうございます！無事完結することができました^ ^ (2020年2月12日 20時) (レス) id: c48463ca18 (このIDを非表示/違反報告)
おゆ(プロフ) - みきさん» みきさん！毎回更新の度にコメントして下さってありがとうございました！わたしも最後まで更新できてうれしいです…！！！引き継ぎどうぞよろしくお願いします^ ^ (2020年2月12日 20時) (レス) id: c48463ca18 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 完結おめでとうございます！主人公のこと大好きなヤスくんが読めて嬉しいです！今後の作品も楽しみにしています！ (2020年2月12日 7時) (レス) id: d5b4f7ed9e (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 更新ありがとうございます！読めるだけで嬉しいです。続きも楽しみにしています！ (2020年2月3日 7時) (レス) id: d5b4f7ed9e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おゆ | 作成日時：2019年8月4日 0時
