やさしさはシタゴコロ【黄】

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隆ちゃんのお店を出て、そのままの足でタクシーを拾い乗り込んだ。掴まれていた手はタクシーに乗ったと同時に離された。亮さんが運転手さんに行き先を伝えて、タクシーが動き出す。




「亮さん、わたしの分もお支払い済ませてくれたんですか？」


亮「ん？ああ、今日付き合わせるお礼。」


「付き合わせるって…わたしも美幸さんに会いたいですし、むしろ誘っていただけてありがたいのに」


亮「ええから。もうこの話終わり。」




プイッと窓の方を向いて、外を眺める亮さん。
こうなったらもう、受け取ってはもらえない。
亮さんの中では、先輩が後輩にご馳走するのは当たり前で、そのことはもちろんものすごく有難いんだけど…塵も積もれば山となる、というか…流石にもう私も社会人だし、甘え過ぎたくないなって思ってるんだけど。


なんだか自分が不甲斐なくて、小さくため息が出た。





亮「A」


「はひっ！…あまーい！」


亮「ククッ…それで元気でる？」


「出る！出ます！ってか元々元気です！」


亮「元気ならため息つくなや。あほ」




口の中に放り込まれた、一口サイズのチョコレート。
そのまま手を掴まれて、手の平の上に小袋に入ったチョコレートを乗せられる。ありがとうございます、と受け取って、１つは手元に、他のものは鞄になおす。




「今日のも美味しいですね！」


亮「あんま食べたらデブなるで？笑」


「うわ！食べにくくなった！」


亮「我慢すんねや？」


「……いえ、もう手遅れなので我慢しません！」




亮さんはモテモテなので、会社の人とか取引先の人とかいろんな人からよく差し入れを頂くみたい。1人じゃ食べきれんからって、いつも何かしらのお裾分けをしてくれる。

今日みたいに小袋に入ったもののときもあれば、お菓子の詰め合わせだったり、ロールケーキだったり。毎回私のツボを抑えるお裾分けをいただくから、私好みに差し入れ考えてるんじゃない？って思ってしまう。笑

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