お部屋でいちゃこら【短編集】 (ページ6)

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『その子に言われて、考えたんよ。

私にとって、章大の隣は当たり前やったから。

章大にもし、好きな人ができたり、彼女ができたりしたら、当たり前じゃなくなってしまうんやなって。

違う人が、章大の隣におるんやなって

そう思うと…もやもやする』

ぎゅっと膝を抱えて、顔を伏せる。
章大のこと、幼馴染としか思ってなかったはずなのに、いざ、隣におれんって考えると、もやもやする。誰かが章大の隣におるって想像すると、もやもやする。このもやもやの正体が知りたい。

「A？」

章大の声が、真正面から聞こえる。いつの間にか、章大はベッドから降りて、私の正面に座っていた。ちょっとだけ顔を上げて章大の顔を見ると、ニヤニヤしてて、なんだか嬉しそう？私はこのもやもやに悩まされてるのに？

『章大、嬉しそうに見える』

「おん、嬉しい」

『なんで？私真剣に悩んでるのに！このもやもややだ！』

ぴょんって蛙のように近づいてきて、一気に距離を縮められる。章大の足の間に、体操座りをした私がいて、真後ろにはベッド。

「もやもや、何なのか教えたろか？」

『！章大分かるん？』

「んー…できれば気づいて欲しいんやけど？」

コテンと首を傾げたと思ったら、章大の手が伸びてきて、ほっぺを優しく包まれる。近くにあった章大の顔が、さらに近づいてきて、鼻の先が当たる。アーモンドみたいなくりくりした目で見つめられる。章大の顔なんて、飽きるくらい見てきたのに。章大のことなんて、知らないことの方が少ないのに。