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ダメや。刺される。と思った瞬間。
奥「ファンの人でも流石にね、困りますわ。」
奥ちゃんはあの人からカッターをするっと奪い、
取り押さえていると、
巡回で近くを通った警官に声をかけられる。
交番で軽く事情聴取をされ、
詳細はまた後日となった。
『奥ちゃん___』
奥「とりあえず腕診るから。お前の家行くで。」
と、怪我のしてない方の手を引っ張られる。
家に着くまで奥ちゃんは黙ったままで。
そう遠くないはずの道が長く感じる。
家に着くと、 染みるけど我慢なって言いながらも優しく手当てしてくれて。
幸いにも、傷は浅かったものの、
お気に入りの白いモコモコには血が滲んでしまっていて。
いや、そんなことよりも。
せっかくの誕生日なのに。
こんなことに巻き込んでしまったことが申し訳なくて。
『モコモコ桑くんとお揃いやったのに〜、、
いっそのこと赤に染めようかな(笑)』
___これが今の私の精一杯。
奥「A。無理に笑わんでええから。」
そういやドッキリの時も(演技だったけど)
無理して空気変える癖バレてたな。
『ごめんね、奥ちゃん。』
奥「俺も気づけばよかったな。」
『でも、折角の誕生日やのに。』
奥「でも、やない。無事やったらそれでええ。
それに、来年も祝ってくれるんやろ。」
なんて言ってくれるけど、、、
けど？？
“来年も”ってまだ独身貫くつもりなんや。
『当たり前やん。祝ってあげる。』
奥「いつもの調子やな。」
にっこり笑う奥ちゃんを見ると、
今までの緊張が解けて涙が溢れてくる。
頑張ったな。って抱きしめてくれる彼は、
涙のせいかキラキラして見える。
ちがうんだ。
涙のせいなんかじゃない。
きっと奥ちゃんなら。
奥ちゃんなら___
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作者名：グラニュー糖 | 作成日時：2021年1月2日 0時
