32 暗転3 ページ36
飛び込みで予約できますかと、開口一番に電話で伝えた。何件か電話をして、ようやく予約がとれた。
とあるビルの一室にかまえるレディースクリニック。最近できたばかりだろうか、やけにクリーム色のタイルがぴかぴかと輝いてる。名前をよばれて検査を一通り終え、今は待合室で座っている。この待っている時間がひどく長く感じた。
数人が呼ばれた後に、わたしが呼ばれた。
看護師さんの案内で通されると、女医さんが座っていた。
「吉岡さん？」
「はい...」
「単刀直入に申しあげますね。おめでとうございます。現在、妊娠5週目です」
「ーーーご、しゅうめ？」
「えぇ、つまり妊娠2ヶ月ですね。失礼ですが吉岡さんご結婚は」
「いえ、まだ。その、未婚です」
鈍器で頭を強く殴られたようだった。
「そうですか。パートナーの方はいますか？」
「います...」
目の前の女医さんの言葉が淡々と響く。
「ではパートナーの方ときちんとお話をなされてください。ここは出産できる病院ではないので、出産なされる場合は他の病院を紹介します。
ですがもし中絶を希望される場合は当院でも可能です。注意事項としては中絶が可能なのは妊娠22週未満と法律で定められていますので、もし希望される場合は早めの決断をおすすめします。」
「わかり、ました」
この人がなにを言ってるのか理解できなかった。
では受付へ、と案内をうけ再び待合室へ戻った。
「吉岡さーん。」
「はい...」
「本日の診察代です。それとこちらエコーのお写真です。」
「ありがとうございました...」
診察代を支払って、小さな封に入れられた写真を受け取る。そのあとのことはよく覚えてない。エレベーターに乗り込み１階を押した。
その瞬間、突然胃液があがる感覚がしてすぐ下の階のボタンを押し、どこかの事務所のトイレだろうか、気持ち悪くなり駆け込んだ。
幸い、吐き気をもよおしただけで、トイレを汚すことはなかった。
「っふ.....っ っ」
涙が、とまらない。ぐしゃりと、渡されたエコーの写真を握りつぶした。
どうして泣いているのか、自分でも分からなかった。
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黄色ジャス民(プロフ) - 本当に最高なお話です。めっちゃ大好きです。まだお話は続くと思うけど出来ることなら続編も読みたいです。 (12月21日 16時) (
レス) @page47 id: 8ff4fc4814 (このIDを非表示/違反報告)
黄色ジャス民(プロフ) - どうか別れないでハッピーエンドでお話が終わりますように。 (12月20日 22時) (レス) id: 8ff4fc4814 (このIDを非表示/違反報告)
arulongchuan(プロフ) - 最高です…！ (12月16日 18時) (レス) id: 1fa20d15c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：gpneibybz | 作成日時：2023年12月15日 13時
