31 暗転2 ページ35
「ーーーしの、はらさん」
「目が覚めた..?」
ぼんやりと目を開けた。まだ意識がはっきりしない。
「覚えてる?吉岡、あなた会社で倒れたのよ」
「はい...なんとなくですけど、覚えてます」
少しずつはっきりしていく意識。そうだ、わたし立ち上がろうとして倒れたんだ。
「ここは..?あれ、篠原さん、その、会議なんじゃ」
「会社の休憩所。午後の会議は他の人に代理で出てもらえそうだから心配しないで」
「っ申しわけありません..」
「いいのいいの。それより吉岡、具合はどう?」
「え、そ そうですね...とくになにも今のところ気分悪くはないです。」
「熱は」
「えっと、熱っぽさとかは特に、、」
「食欲は?ここ最近なに食べているの?」
「昨日はたしかおにぎりです。」
「梅?」
「え、そうです。。なんで分かったんですか」
「胸は?張ってたりする?」
「ここ最近ちょっと張っては、います。もうすぐ生理なのかもしれません」
「最後に生理がきたのは?」
「えっとーーーーーー。え、待ってください篠原さん」
怒涛の質問の内容に思わずベットから起き上がった。なんでいま生理の質問なの。
「で、最後に生理はいつきた?」
「ちょ、待ってください篠原さん!ただの貧血とかですよ!ほら、わたし毎年この時期はいつもそうじゃないですか」
「吉岡、」
篠原さんが深く息を吐いた。生理、たしか生理が最後に来たのはーーーーー
「ーーー2ヶ月、きてない」
「・・・・」
1ヶ月生理が遅れるなんてよくあることだった。不順気味だったし、遅れることはあってもそれでも今まできちんときていたから、頭からすっかり抜けてしまっていた。
「特定の誰かが、いるのかな?」
「はい...」
篠原さんがパイプ椅子から立ち上がり、わたしの寝ていたベッドへ腰かけた。簡易用の安いベッドがきじっと鈍い音をたてる。
「吉岡、まだ決定づけるわけじゃない。でもね一般的に相手がいるのなら生理が遅れている場合 多少なりと気にしておかなきゃだめよ?」
篠原さんにそっと頭を撫でられた。少し困ったように笑いわたしの顔をのぞきこんだ。
「午後、有給使って病院へ行きなさい。そうしないと断定できないでしょ?」
「....はい」
もしかしたら、ーーそんな予感ばかりがして手の震えがとまらない。本当のことを知るのがこわい。
「もし分かったら連絡して。迎えきてあげるから」
「...ご迷惑かけます」
.
640人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黄色ジャス民(プロフ) - 本当に最高なお話です。めっちゃ大好きです。まだお話は続くと思うけど出来ることなら続編も読みたいです。 (12月21日 16時) (レス) @page47 id: 8ff4fc4814 (このIDを非表示/違反報告)
黄色ジャス民(プロフ) - どうか別れないでハッピーエンドでお話が終わりますように。 (12月20日 22時) (レス) id: 8ff4fc4814 (このIDを非表示/違反報告)
arulongchuan(プロフ) - 最高です…! (12月16日 18時) (レス) id: 1fa20d15c1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:gpneibybz | 作成日時:2023年12月15日 13時