30 暗転 ページ34
付き合いだして半年。季節は8月。
照り返しがじりじりと暑さを際立たせている今日この頃、とくにわたしたちのお付き合いは平穏そのもの。
えりかさんにはきちんと報告をしておきたかったから、後日電話で報告をした。電話越しで何度もおめでとうといってくれた。
わたしと翔平のことを知ってるのは、水原さんとえりかさん、お互いの両親。ようするに身内のみだ。
お互い周りに公言する予定もとくになく、相変わらず翔平は忙しいので、帰国するタイミングに会っている現状。
翔平は周りに顔も知れてるし、なによりあの体格だ。どこに行ってもバレてしまいそうだもん。でもとくに不満もなく、わたしも翔平も、会えればいいので特に問題ない。
そしてやっと会える今週末の帰国。あと2日だ。
「あっづいーーー」
「なぁに吉岡ー？夏バテ？」
「あ、おつかれさまです篠原さん。そうなんですよ。8月になってから暑さでやられてます」
「おつかれ。ここんとこ猛暑続きだもんねぇ。でもそんな昼ご飯じゃ午後ももたないわよ？」
これ差し入れといって渡された経口補水液のゼリー。
篠原さんはわたしの直属の上司で、バリバリのキャリアウーマン。美人で仕事もできて、部下からも慕われていて、ようするに憧れの人。
「ありがとうございます。でもわたし毎年8月は夏バテするんでへっちゃらですよ〜」
暑さが大の苦手で、特に8月となるとわたしは毎年のように夏バテする。最近は暑さのピークをむかえ昼も夜も簡単なご飯ですませてしまう。暑さの嫌いな人間からすれば、この時期はほんとに厄介。
「それでもちゃんと食べなさいよ。てか吉岡、あんた少し痩せた？」
「え？そうですかね？」
「顔色も、ーーなんだか悪いわよ」
元々そこまで太りやすいわけじゃないから、痩せたかどうかは分からないけどデスクに置いてある鏡をみれば、少し痩せた、のか？？
「大丈夫ですよ！いたって健康体ですから〜
あ、わたし午後の会議の資料並べてきますね」
「そう？あんまり無理しないでおきなさいよ」
「分かってますよ〜！」
篠原さんったら心配性なんだから〜とぼやいてデスクから立った瞬間、視界がぐにゃりと歪んだ。
「っ吉岡！！」
目がチカチカする。四肢に力が入らない。
篠原さんの声が遠い。あぁ、わたし倒れちゃったのか。 ちゃんと食べとけばよかったーーーー
遠のく意識の中で浮かぶのは、なぜか翔平の顔だった。
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黄色ジャス民(プロフ) - 本当に最高なお話です。めっちゃ大好きです。まだお話は続くと思うけど出来ることなら続編も読みたいです。 (12月21日 16時) (
レス) @page47 id: 8ff4fc4814 (このIDを非表示/違反報告)
黄色ジャス民(プロフ) - どうか別れないでハッピーエンドでお話が終わりますように。 (12月20日 22時) (レス) id: 8ff4fc4814 (このIDを非表示/違反報告)
arulongchuan(プロフ) - 最高です…！ (12月16日 18時) (レス) id: 1fa20d15c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：gpneibybz | 作成日時：2023年12月15日 13時
