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「____ッ、はぁ、ぁ、」

 酷い寝苦しさで、クロは夢から飛び起きた。
 寝汗をたっぷりかいてしまっており、服が湿って肌にまとわりつく感覚がとてつもなく気持ち悪い。

「……」

 なんとか息を整えて、隣で眠る悪魔を起こさないように毛布から抜け出す。
 彼はやはり疲れていたのか規則的な寝息を立てて、ぐっすりと眠っていた。
 音を立てないように、建て付けの悪い扉をゆっくりと開けて外に出ると、ようやくクロは肺に酸素を届けることができた。

「は、はっ、はぁ、あ……」

 心臓がいつまで経っても鳴り止まない。
 原因はもちろん、先程まで見ていた夢だった。
 入間たちの姿と彼らを導く教員の姿。それがクロの心臓を掴んで離さない。
 クロは、グッと奥歯を噛み締めて、絞り出すようにその『教員』の名前を呼んだ。


「____ッ、バラム=シチロウ……!!」


 白亜の守護鴉《ガーゴイル》。
 入間たちの担任であるカルエゴ卿の腐れ縁にして、ハイランク悪魔。
 そして、未来の魔王である入間の良き理解者であり協力者になる悪魔でもある。

 そんな彼が、今クロをアドラメレクから逃がそうと奮闘している少年悪魔の未来の姿であることをたった今理解し、思い出したのだ。

 同時に、恐ろしくなってしまった。
 クロを守ろうとしてくれる優しい彼を、未来の魔王の成長に不可欠な悪魔を、いまクロはアドラメレクの脅威に晒している。
 その事実に、クロは耐えられそうになかった。

(どうしようどうしようどうしようどうしよう!!)

 ぐるぐると目が、胃が、頭が回ってどうにかなってしまいそうだった。
 考えがどうにもまとまらない。
 自分が酷い罪を犯してしまったような気分に苛まれ、軽くパニックになってしまった。


 そんな時である。
 クロの体に影が落ちた。

「…………ふふっ、いい夜ねぇ、クロ♡」

 ひどく楽しそうな声が、クロの頭から降ってくる。

「__ぁ、」

 クロは逃げることも、大きな声を出すこともせず、その声を黙って聴くことしかできなかった。


⚪︎⚪︎⚪︎


 小屋の窓から差し込む朝日で、バラムは目を覚ました。
 寝ぼけ眼で隣にいたはずのクロを探していると、部屋の隅から声がかかる。

「バラムくん、おはよう」
「おはようクロさん。早いね」
「ちょっと早く目が覚めちゃっただけ」

 クロはまだ頭の回ってなさそうなバラムを見て、柔らかく笑った。

「じゃあ、城下を目指そう。よろしくね、バラムくん」

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ほるすたいんねこ(プロフ) - 海姫さん» コメントありがとうございます!楽しんでいただけているようでとても嬉しいです!!ゆっくりの更新ではありますが、お付き合いくださいませ。よろしくお願いします!! (2023年3月12日 11時) (レス) id: 4b2c935aae (このIDを非表示/違反報告)
海姫(プロフ) - めちゃくちゃ好みのお話です。表現方法も綺麗で楽しく読んでます。更新楽しみにしていますので、これからも頑張ってください! (2023年3月6日 0時) (レス) id: d925a11138 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ほるすたいん猫。 | 作成日時:2023年3月6日 0時

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