ビターなお味。 ページ15
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「ぜっっったい開けないで下さいね！」
「………」
「ボス！返事は？！」
「あぁ？チッ…分かったよ」
鶴の恩返しさながら、キッチンの扉から顔を覗かせ
Aは俺を睨みつけた。
今週に入ってから様子がおかしい。
そわそわと落ち着きがないし何かを隠している。
爬虫類引き連れてインペルダウンを
襲撃しようとする女だ。
今度は一体何を企んでいる…？
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その日の夜。
「はい！これ」
「あ？」
Aは満面の笑みで何か小包を渡してくる。
何やらラッピングされた…チョコレート…？
「何のつもりだ」
「え？！」
「……何の風の吹き回しだと言ってる」
「何って…バレンタインじゃないですかぁ！」
「………」
………
………バレンタイン？
俺の頭の中に浮かぶのは、傘を持って
重くなったり、軽くなったりする女……
「ボス？？」
「…あァ？」
「もうっ、今日はバレンタインデーですよ〜」
「……そうか」
「えー、反応うす！」
ガチャ
「ダズさん！」
「只今戻りました」
「ダズ。どうだった」
「やはり海軍が目をつけているようで。
上陸は難しいかと」
「そうか」
別の島に偵察に行っていたダズが帰宅した。
Aはパタパタと慌ててキッチンに戻ると
再び例の小包を持ってダズへ渡した。
「？」
「もう！ダズさんまで疎いんだから。
今日、バレンタインデーなので作りました！」
「あぁ、そうか。バレンタイン。
ありがとう」
「ふふ」
ダズは受け取ったチョコレートをその場で食べ
「うまい」と頷いた。
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作者名：ちゃわん虫 | 作成日時：2020年10月31日 0時
