【スモーカー】風に舞う煙 (ページ36)

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風に舞う煙２ページ36

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「今まで…ありがとう」

「あ？」

「私…G-5に来て良かった。
　スモやんや…たしぎや、G-5の奴らと一緒に働けて。
　腐りかけてた私を救ってくれて…
　本っ当に感謝してる！ありがと！」

"お前が正しいと思ったことをやれ。それが正義だ"

その言葉に救われた。

上司としても、飲み友としても
…パートナーとしてもアンタは最高だったよ。

ありがとう。

「なぁA…お前何か勘違いしてねぇか？」

「え？」

「俺はお前と別れる気なんかねぇからな」

「……え？」

私の様子を見て、スモやんは盛大な溜息をついた。

「海兵としての生き方はテメェで決めろ。
　俺とお前の関係については別だろ」

「だって…海軍本部に行ったら…今みたいに会えないよ」

「それがどうした？」

「どうって…」

夜中にコッソリ抜け出して
スモやんの部屋で飲んでそのまま寝ちゃったり
バイクで2ケツしたり、休日どこかに出掛けたり、
一緒にトレーニングしたり…出来なくなっちゃうんだよ。

次いつ会えるか、わからないんだよ？

「俺がお前に会いに行く。
　それに電伝虫だってあるんだから…
　声が聞きたくなりゃ連絡すれば良い」

「スモやん…」

「俺の執念深さをナメんなよ。馬鹿野郎」

久しぶりに十手で小突かれて、
私は思わず笑ってしまった。

「プッ…はは！さすが、白猟のスモーカー」

離れていても、気持ちは一緒でいられるだろうか？

そんな不安は、抱えるだけ無駄だ。

「じゃあさ…お願いがあるんだけど」

「何だ？」

「スモやんがいつも吸ってるこの葉巻の銘柄、後で教えてよ」

「別に構わないが…」

「これ、吸ってたら…スモやんがそばにいるみたいだろ？」

慣れ親しんだ香り。

それに包まれていたらきっと不安も無くなる。

私も、彼もほとんど同時に息を吐いて
重なるように、風で煙が舞っていった。

それが消えて無くなる様子を眺めていた。