【スモーカー】風に舞う煙 (ページ34)

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灯りが消えないように２ページ34

きょとんとしているAにヘルメットを被せ
後ろに乗るよう指示した。
Aはそれ以上余計なことは言わずに大人しく
バイクの後ろにまたがり、俺の腰に手を回した。

俺は久しぶりのAの温もりに高揚した。

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「着いたぞ」

「遠くまで来たなぁ…ここどこ？」

そこは、街を一望できる高台にある公園。

「うわ…！」

この俺が、お前を…
夜景が綺麗な場所に連れて来るなんて笑えるだろ？

「綺麗…」

「巡回しててたまたま見つけた。
　…お前といつか来ようと思ってて…」

「はは、ロマンチックなことするじゃん」

「うるせぇ…」

Aは柵にもたれかかってしばらく夜景を眺めていた。
そして俺の手を握ってこちらを見上げる。

「ありがとう」

「あ？」

「ねぇ…この灯りのひとつひとつにさ、
　人がいるんだよな？」

「まぁ…そうだろうな」

「この灯りが消えないように
　毎日平和で安全に過ごせるように
　私たちがいるんだなって、今改めて思った」

「…そうか」

俺はお前のそういう真面目なとこが好きだ。
サボってばっかに見えるけど
正義感が強くて、真っ直ぐなとこ。

お前が、心底好きだ。

「だから、連れてきてくれてありがとう」

Aはこちらに向き直ると
俺の胸元に頬を寄せた。
愛おしくて堪らなくなって、俺も抱きしめる。

「スモやん、好きだよ」

「俺も好きだ…愛してる」

Aは俺を見上げて一瞬驚いた顔をしたが
ニッコリと柔らかく笑うと少し背伸びして目を瞑る。

これまでの時間を埋めるように
ゆっくり、丁寧に唇を重ねた。

「何か久しぶりだね、二人きり」

「あぁ…」

「今日はどっか泊まって行く？」

「……ほう…武士に二言はねぇな？」

「えっ」

「覚悟しとけよ」

慌てて前言撤回しようとしているがそうはさせない。
俺を放置していた罰だ。

「明日、早番だわ…」

「テメェで言ったことには責任持て。
　武士に二言はーー…」

「私武士じゃねぇし！」

この灯りが消えないように。