【スモーカー】風に舞う煙 (ページ21)

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不毛な議論２ページ21

前は頭を撫でると「子供扱いするな」と
噛み付いて来たが、最近では大人しくしている。

頭の悪い犬のしつけに成功した気分になった。

と、口に出すと本気で怒りそうなので言わない。

Aは俺の腕に絡みついてくる。

「………(これじゃ葉巻が吸えん)」

「ねぇスモーカー…、大好き」

「……俺の方が好きだ」

とか言ってみる。
絶対食いついてくるはずだ。

「……あ？私の方が好きだし」

「ハッ…何を根拠に？」

「根拠…？！」

「根拠も無しに俺に勝とうとは２万年早えな」

お互いのどこが好きだとか、どっちの方が好きだとか、
そんな答えのないくだらない不毛な議論は
コイツとならいくらでもしてやる。

「んな！！えっと…！早く仕事終わらせて
　いつも会いに来てる！」

「そんなの俺も一緒だね。
　むしろ俺の方が仕事量が多いだろうが」

「んーと、んーーと…
　いつもスモやんのこと考えてる！
　ごはん食べてる時、寝る前も、任務の時も
　報告書書いてる時もずっと考えてるもん！！」

「上司として後半部分は聞き捨てならねぇが…
　そんなに俺のことが好きか？」

「好きだよ！！ん……？」

あぁ、愉快な奴。
恥ずかしい事言ってるって今更気付いてやがる。

「ハメたな……」

「クックック…勝手にハマっただけだろ…クク…」

「ぶっ飛ばす！十手貸せ！」

「おいおい、あんまりベットの上で暴れるなよ…」

「だって…！」

「俺の負けだ。お前の方が好きってことにしてやる」

「あー！ムカつく！！」

顔を真っ赤にして悔しがるAを抱いて
「よしよし」となだめてやるとしおらしくなる
……訳がなく、
火に油を注いだようで本当に十手でどつかれた。

どんなくだらない会話だって
コイツとならいくらでも。