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ﾊﾟｳﾘ「…遅れて悪かった」
「ううん。先に飲んじゃったよ」
ﾊﾟｳﾘ「さ、気を取り直して！
今日は贅沢しようぜ！なんせ記念日だからな！」
「うん…」
ﾊﾟｳﾘ「どした？何か元気無いか？」
「え？ううん、そんな事ないよ。
腹減っちゃって。早く注文しよ！」
記念日って言ったって
スーツやドレスを着て行くような所ではなく
もっと俺たちらしいカジュアルな
レストランへやって来た。
食いたいもん食って
飲みたいだけ飲んで
パーっと派手に祝う。
それが俺たちらしいって話した結果だ。
ﾊﾟｳﾘ「初めてサシで飲み行った時にさ、
俺が見栄張ってなんでも好きなもん食え！
って言ったら、お前サーロインステーキなんか
頼むから金が足りるかヒヤヒヤしたぜ」
「ええ？そうだっけ？覚えてない」
ﾊﾟｳﾘ「ったく遠慮のない後輩だと思ったよ、あん時は」
「うはは！ごめんごめん」
ﾊﾟｳﾘ「冗談だよ。思えばあん時から
もう俺はお前の事好きだったんだよなぁ」
「ブハッ…、何だよ急に」
パウリーは昔を思い出して
懐かしい様子で笑っていた。
その頃はまだ自分が女になっちまったって
認められなくて、もがいていた頃だっけ。
ﾊﾟｳﾘ「なぁ、A」
「ん？どうしたの、真面目な顔して」
ﾊﾟｳﾘ「そのー…色々考えたんだが。
俺たちも付き合って結構経ったし、その…」
「何だよ。ハッキリ言えよ」
ﾊﾟｳﾘ「…そうだな。長い前置きはやめるか…」
パウリーは落ち着きなくソワソワしていた。
俺は気にせずビールを飲み干して
店員に追加を注文した。
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作者名：ちゃわん虫 | 作成日時：2021年7月22日 22時
