１３ ルッチside ページ14
Aは険しい顔をしながら腕を組んだ。
「４年前…アイスバーグを訪ねてきた男を覚えてるか？
名前は"カティ・フラム"…」
ﾙｯﾁ「カティ・フラム…」
「なんか引っかかって調べたんだよ。
カティ・フラムっつーのは
トムズワーカー時代のアイスバーグの弟弟子だ。
そしてその男は死んだってことになってる」
ﾙｯﾁ「…！」
「その男とフランキーの声が似てるんだ」
ﾙｯﾁ「何だと…！」
「死んだとされてる男が正体を隠して…
"フランキー"と名を変えて生きる理由は何だ？
そしてアイスバーグが俺たちに
その話をした事があったか？
師匠・トムの話はするのに。
…何か妙だと思わねぇか？」
やっぱりそうだ。
コイツの野生の勘は、俺にはない。
合理性とか、辻褄とか、根拠とか
そんなもの関係無しにコイツの感性が物語る。
ﾙｯﾁ「…詳しく調べる必要があるな。
あるいは本人に問いただすか…」
「だな。何か知ってる可能性は大いにある。
設計図は師匠から弟子へ引き継がれるんだろ？」
ﾙｯﾁ「あぁ。…A、良くやった」
「はは。久しぶりに褒められたな、お前に」
俺が頭を撫でると、照れ臭そうに笑った。
「……ルッチ？」
Aの声でハッとした。
…俺は何をしようとしてるんだ。
大きな瞳がこちらを覗き込んでいた。
「…どした？」
ﾙｯﾁ「あ、いや…。
話は戻るがパウリーの件だが…」
「プロポーズされたよ」
ﾙｯﾁ「何…？」
「考えとくって言って返事はまだしてない」
ﾙｯﾁ「…このまま…女として
ここで生きていく選択肢もある」
「は？」
"貴方が声を掛けてあげて。
じゃないと私たち…あの子を失うわ"
「それ…どういう意味だよ」
"貴方にはあの子が必要でしょ？"
カリファの言葉がこだまする。
でも俺は言えない。
この任務が終わったら、共にCP9に戻ろうと。
また一緒に闘おうと。
ﾙｯﾁ「迷いは、弱さだ」
「……何だよそれ…」
ﾙｯﾁ「この街とパウリーの事
きっぱり忘れられないなら
お前の居場所は無いと思え」
「はぁ…？何でいつもそういう言い方する訳？
俺がいつ迷ってるって言った？」
俺はパウリーみたいに
お前を幸せに出来ない。
アイツと一緒に生きる方が
きっとお前の為になる。
ﾙｯﾁ「お前、CP9を抜けろ」
「……！！」
そう言い放った俺は
無責任な男だろうか。
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作者名：ちゃわん虫 | 作成日時：2021年7月22日 22時
