１０ カリファside ページ11
.
ﾙｯﾁ「Aは何と？」
ｶﾘﾌｧ「え？」
ﾙｯﾁ「……何か言っていたか」
ｶﾘﾌｧ「…ふふ。
気になるなら直接聞けば良いじゃない」
ﾙｯﾁ「別に」
まったく…素直じゃないんだから。
作戦会議が終わり、
Aはパウリーの家へ向かった。
カクも店を出て、私は残りのお酒と煙草が
名残惜しくてもう少しここにいたかった。
ルッチはもう用はないはず。
だってグラスは空っぽだし
無駄な雑談は嫌いってタイプだもの。
ｶﾘﾌｧ「悩んでるんじゃない？
あの子も大人になったのね…」
ﾙｯﾁ「フン。大人になると悩むのか？
だったら俺はまだ子どものままだ」
ｶﾘﾌｧ「そういう意味じゃないわ。
多分今までは…自分が強いってことだけが
あの子の自尊心だったのよ。
力を誇示する為だけに
任務をこなして来た…」
ﾙｯﾁ「……」
ｶﾘﾌｧ「…けど、ここに来て…それが本当に
正しい事なのかって疑問に感じたんだと思う」
ガレーラカンパニーの職人達は
誇りとやりがい持って仕事をしてる。
きっとそれが羨ましいのね…
ﾙｯﾁ「…くだらんな」
ｶﾘﾌｧ「そう？私もAの気持ちは分かるわ」
ﾙｯﾁ「この仕事で迷いは命取りだ。
カリファ。お前だって分かってるだろ」
ｶﾘﾌｧ「ええ」
ﾙｯﾁ「だったら…」
ｶﾘﾌｧ「だったら貴方が声を掛けてあげて」
ﾙｯﾁ「何…？」
ｶﾘﾌｧ「じゃないと私たち…あの子を失うわ」
ルッチは押し黙った。
きっと何と返せば良いのか分からないんだろう。
ｶﾘﾌｧ「私たちに…貴方にはあの子が必要でしょ？」
ﾙｯﾁ「…弱い人間は足手まといになるだけだ」
ルッチは立ち上がって、店を出てしまった。
黙ってお皿を拭いていたブルーノが
私のグラスにお酒を注ぐ。
ｶﾘﾌｧ「あら…ご馳走してくれるの？」
ﾌﾞﾙｰﾉ「あぁ。お前も色々大変だろう」
ｶﾘﾌｧ「別に…。まぁルッチの意地っ張りには
ちょっと呆れてるかも」
ﾌﾞﾙｰﾉ「ありゃあ一筋縄には行かないな」
ブルーノは肩をすくめた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 55人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちゃわん虫 | 作成日時：2021年7月22日 22時
