【ルッチ】兎と豹【ワンピース】 (ページ47)

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「…そんなんじゃないです」

「無理しなくても良い。
　お前のペースで良いんだよ。
　俺は、いつまでも待ってるから…」

ああ、この人はどこまで良い人なんだろう？

キス出来なかった理由は
きっとこの人の純心さが怖かったからだ。

ウソだらけの俺の全てを信じて
真っ直ぐ、ピュアな気持ちで接してくれる。

「勇気が…無くて」

「え？」

「アンタみたいな純粋で、素直で
　まっすぐな人にぶつかる勇気が無いんだ…」

いつかアンタを悲しませることになるから。

永遠に続かないって分かってるから。

「俺、本当は…！」

言いかけて、言葉が詰まった。

パウリーが手を引いて、ぎゅっと抱きしめたから。

「馬鹿だな…」

「パウリー…！」

「ゴチャゴチャ考えるな。
　俺は、今のままのお前が好きだ」

「…！」

まるで魔法をかけられたみたいに
気持ちがスッと軽くなって
ふわふわと優しい何かに包まれた気分になった。

この人のハグには
そういう特殊な力があるんだろうか？

「A。好きだ」

自然と目を閉じて、俺はパウリーを受け入れた。

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