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「はい、終わり」
「あ、ありがとう…」
「私は先にアイスバーグさんのところへ
お迎えに行くから。それじゃ」
「おう…」
カリファは部屋を出た。
俺はもう一度、鏡で首筋を確認する。
キスマークも歯形も見事に消えていた。
「………」
時々、自分が恐ろしい。
体だけじゃなく心まで女に近付いてる気がする。
昨晩の事が再び思い出される。
カリファみたいなあんな良い女が
下着同然で抱きついて来たのに
俺が感じたのは"戸惑い"だった。
興奮するでも無く、ただただ戸惑った。
それよりも胸騒ぎがするのは
暗闇の中、月夜に照らされるルッチの瞳だ。
"まるで獣に喰われる野ウサギだな…"
真っ直ぐ俺を見据えるその瞳に
一度捕らえられると身動きが取れなくなる。
抵抗したくても、身体の力が抜けてしまう。
結局俺は、奴の首に手を回して
情けなく鳴くしかなかった。
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「おはよーございます」
「お、おは、おはよう…A」
朝食はバイキングだそうで
早く来た者たちから食べ始めている。
俺は空いているパウリーの隣に着席したが
彼は昨夜のキスのせいか、彼は
顔を真っ赤にして目を泳がせている。
「……」
「あの。職長」
「なななな、なんだ」
「俺…私、職長と変な空気になるの嫌っす」
「お、おう…」
「だから、普通にして下さい」
「…す、すまん。努力する…」
相変わらず顔は赤いが、
何とか目を合わせてくれた。
「もう、意識しすぎ！」
「いてぇ…」
「うはは！」
俺はバンっと勢いよくパウリーの背中を叩いた。
そこへやって来たのは引率のルルだ。
ルル「お前ら一時間後には出発だぞ。
さっさと朝飯済ませて支度しとけよ」
「ルルさん。おはよーございます！」
ルル「おう。いやぁ、昨日は飲みすぎたな…」
ルルも宴会場で酔い潰れたうちの一人だ。
「出発って、今日はどこ行くんすか？」
ﾊﾟｳﾘ「お前、しおり読んでねェだろ」
「うぇ、読んでない」
ﾊﾟｳﾘ「同業他社やら材木屋、その他諸々の
関連業者に見学も兼ねて挨拶周りすんだよ」
「へぇ、結構真面目なことするんですね」
ルル「まぁな。人数が多いから各ドッグを
更に５チームに分けて担当する」
ﾊﾟｳﾘ「で、俺はどこ行けば良いんだっけ？」
ルル「お前もちゃんとしおり読んでねぇじゃねーか！」
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淡 - めっちゃ面白いです！ (2022年8月11日 21時) (
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作者名：ちゃわん虫 | 作成日時：2021年5月28日 23時
