【ルッチ】兎と豹【ワンピース】 (ページ33)

今日:7 hit、昨日:45 hit、合計:53,359 hit

３２ページ33

.

.

.

「おい、起きんか」

「ん…んんー…」

「朝じゃ。さっさとせい」

「朝…？」

一瞬、ここがどこか分からなくなった。

薄らと目を開けると長ーい鼻がこちらに向いている。

「うお…カク？何で…」

「何でも何も、わしのベットじゃ」

「ん、おぉ…そうだったか…」

まだ頭がボーっとしている。
昨日の記憶を順を追って探る。

そうだ。

酔ったカリファに抱きつかれて
ルッチとカクの部屋に避難して

俺…またルッチと…

「ヤッちまったか…」

「何をブツブツ言っとるんじゃ。
　朝食に間に合わなくなる。早く部屋に戻らんか」

「へいへい…。
　お前いつの間に戻って来たんだ？」

「今しがたじゃ」

「ふぅん…お前が酔い潰れるなんて珍しいな」

「潰れてた訳じゃない。
　頃合いを見て全室調べていた」

「え！」

どうやらカクは宴会場で皆が寝ている隙に
一部屋ずつ侵入して何か手がかりがあるか
探していたらしい。

「俺が一人ですったもんだしてるうちに…
　お前は仕事してたのか…カク」

「すったもんだ？」

「いや…何でもない。ルッチは？」

「散歩じゃと」

「タフだな…アイツ…」

「？」

「何でもないって。もう行くわ」

気だるい身体にムチを入れて
何とかベットから起き上がり部屋を出る。

なんだかあちこち痛い。

「ルッチの野郎…」

腰を摩りながら俺は自分の部屋へ戻る。

昨夜の事もあり少し身構える。

コンコン

「ふーーーっ。入るぞー」

ガチャ

深呼吸をしてから恐る恐る扉を開けると
化粧台の前で身なりを整えるカリファがいた。

「おはよう」

「お、おう。おはよ」

「自分の部屋なんだから普通に入れば良いのに」

「そういう訳には行かねぇだろ…」

.

.

.

「はい、コレ」

「へ？何だこりゃ」

「ファンデーション」

「は？何で」

「キスマーク。そのままにして行く気？」

「え？！え？！」

カリファが呆れたようにため息をつく。

「ど、どどど、どこ？！」

「まったく…。こっちへ来なさい」

言われるがまま化粧台の前に座らされると
鏡に写る俺の首筋にはいくつかのキスマークや
歯形が残っていた。

カリファはファンデーションで
それらを丁寧に消して行く。

「色々…もう少し気を遣ったら？」

「…はい、すんません…」

「まるで獣に噛まれたみたいな跡…」

「……」

あの化け猫め…。