【ルッチ】兎と豹【ワンピース】 (ページ30)

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急いで起きあがろうとしたタイミングで
パウリーがこちら側へ寝返りを打ち、
見事すっぽりと腕の中に収まってしまった。

「ちょ…重っ…職長、重い！」

「ん～～…A…」

「…！」

自分の名前を呼ばれて思わず動きが止まる。

「(どんな夢見てんだよ…)」

「くーーー」

「酒臭い…」

何とか引き剥がし立ち上がると
たくさんの男たちが酔い潰れて眠っていた。

実にむさくるしい状況である。

ルッチとアイスバーグ、カリファは見当たらない。
いつの間にか自室に退散したようだ。

「(カクまで寝てる…ったく何やってんだか。
　いや俺も人のことは言えないか…)」

俺は体中染み付いた煙草の臭いに嫌気がさし
ひとまずシャワーを浴びに部屋に戻る事にした。

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ガチャ…

「(さすがに寝てるよな…？)」

部屋は真っ暗だ。

同室のカリファは寝ているようなので
起こさないように足音を消す。

「おかえりなさい」

「うお？！」

驚いたのはカリファの声だけじゃない。

背中に柔らかい感触がして
そしてカリファの細い腕が俺の腰にまとわりついた。

「カ、カ、カ…カリファ、さん？」

「………」

「カリファお前…酔ってる？」

微かに酒の臭いがする。
部屋で一人飲んでいたらしい。

背中に触れる感触からして
かなり薄着…いや、もしかして下着か…？

「あのー…えと、俺シャワー浴びたいんだけど…」

「…行かないで」

「え、えぇ？」

「一人にしないで…」

後ろから俺を抱きしめていた腕が
ぎゅっと強く締まる。

「カリファ、苦しい…」

「そばに居て欲しいの」

「く、苦し…、割とマジで…死ぬ…！」

「A！聞いてるの？！」

「おえ…吐きそ…ちょ、マジ離して…」

何とか自力でカリファの怪力を引き剥がし
振り返ると、やはりネグリジェ姿のカリファが
目を潤ませてこちらを見ていた。

「(やっぱり…酔ってる…)」

「男なんて皆勝手なのよ…」

「お、おう」

「みんなみんな、勝手なのよォ！」

「分かった分かった！分かったから…
　とりあえずお前、横んなれ！な？」

「うううー…」

「こんな格好してたら風邪引くぞ？
　良い子だから、ほら…」

俺はなんとかカリファを
ベットへ寝かしつけ退散した。

「いやぁ、参った…」

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