４ ページ4
.
.
.
「クロちゃんはさ、嫌いな食べ物ある？」
「……」
「言っとかないと自分が損するよ」
「………ケチャップ」
「ケチャップ？ふーん。トマトが嫌いなの？」
「違う。トマトは好んで食う」
「へぇ。まぁ、たまにいるよね。そういう人」
分かる気がする。とウンウン頷くAは
俺の素性を聞かない。
この世界は俺の知らない事ばかりだ。
島国だというのに海賊はいないらしい。
略奪も戦争もない。
どうりで平和ボケした奴らばかりな訳だ。
「じゃあ今日の夕飯は特別にステーキ焼いちゃお。
出所祝いもかねて。パーっと！」
Aはニコニコ笑っていた。
素性の知れないこの俺を面倒見るつもりだろうか。
家に招くなんて、平和ボケにも程がある。
「あ、そうだ！冷やしトマトもつけてあげるね〜」
…まぁいい。
都合よく利用するだけ利用して
捨てるだけだ。
.
.
.
「あ、やっぱりちょっと小さかったかぁ。
後でネットで大きいサイズ買うね。
クロちゃん背が高いからなぁ〜」
Aが用意した服は少し袖が短かった。
まぁ捲れば問題無い。
そして俺が今まで着ていた服は洗濯すると言って
Aが引き取った。
「わー。これはクリーニングだね」
「……何故そこまでする」
「え？いやいや洗濯機じゃ洗えないよ。
こんな高そうなコート」
「洗濯の話じゃない。
得体の知れない男を家にあげて
飯を作って…一体どういうつもりだ？」
Aは一人暮らしのようだった。
店までは歩いて20分程の距離だという。
「だって、クロちゃん男前なんだもん」
「あ？」
「あはは、冗談だよ。何か、訳ありなんでしょ？
気が済むまでここにいたら良いじゃん」
Aは随分サッパリした性格だった。
余計な詮索もせず、俺を変人扱いしなかった。
「…クハハ、変な奴」
「え？何？」
「俺は海賊だ。何するか分からねぇぞ」
胸ぐらを掴んでこちらに引いた。
が、女は恐ることもなく笑った。
「あなたが海賊なら、
私はターザンにでもなろうかな？」
俺は拍子抜けして、掴んだ手を緩めてしまった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 44人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちゃわん虫(プロフ) - kanraiさん» ありがとうございます！とっても嬉しいです〜。ちょこちょこと更新してゆきますのでよろしくお願いします！ (2021年3月20日 11時) (
レス) id: 04e07cddb0 (このIDを非表示/違反報告)
kanrai - 凄く面白くて好きです！！更新楽しみにしてます！頑張ってください！！ (2021年3月16日 23時) (レス) id: 719db3de2f (このIDを非表示/違反報告)
ちゃわん虫(プロフ) - ダダン巻きさん» ありがとうございます！ちょこちょこと更新してゆきます〜 (2021年2月24日 22時) (レス) id: 65c61994ea (このIDを非表示/違反報告)
ダダン巻き(プロフ) - 一話の時点でもう面白い……ちゃわん虫さん流石です…！これから楽しみにしてます！ (2021年2月23日 16時) (レス) id: 04fb927f29 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちゃわん虫 | 作成日時：2021年2月23日 15時
