＊薄幸を背負いし君に福あれと2【渚カヲル】 ページ10
『霞崎(カザキ)翼っていうよ』
「ヨク…翼、か。
いい名前だね」
『唐突だね…。…なんでそう思った？』
「どういう字？」
『ツバサ…「翼」って書いてヨクって読むの』
「眩しい名だ」
『よっく恥ずかし気もなくそういうことポンポン言えるね…！恥ずかしくないの？』
「恥ずかしくないよ。…どうして？」
『うぐ…！その純心過ぎる瞳が、少しだけ苦手かもしれない…。今のは忘れて！』
「いいけど…。
突然だけど、翼に尋ねたいことがあるんだけど…いいかい？」
『…どうぞ、何なりと』
「君は一体…何者？」
『ド直球だね、グイグイ来るねぇ…。そういうの、嫌いじゃないけどさ』
「答えづらいことだったらごめんよ。どうしても聞いておかなきゃならないことなんだ」
『べっつに？ただの一般人Ａでしょ』
「まさかそれ…本気で言ってたりする？」
『本気も本気、大本気だけど？』
「そうか…」
『なあんちゃって、ウッソだよ！
本当はね、「神様の末端」』
「今なんて―」
『神様の末端！
自慢の髪の毛をこの世の創造主に捧げて、神様の力を授かったの』
「突拍子も…ないね？」
『まァね。でもみんなほんとのこと
別に信じなくてもいいよ。
そうそう信じられる話じゃないし』
「ごめん…そんなつもりじゃ、」
『謝んないで。
君が、謝んないでってば
謝る必要なんてないよ。だって「渚カヲル」、なんにも悪いことしてないでしょう？』
「僕…は…」
『そんな表情、しないで…。
あたしまで、泣いちゃいそうになるってっ…！』
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作成日時：2014年8月22日 23時
