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何の変哲もなく時間は過ぎ、
あっという間に下校時間になった。
「Aー。一緒に帰んない?」
「ごめんね。今日はうらたくんに誘われてるの。」
「そっかー。じゃあねー」
「うん。ばいばい」
声をかけてくれた友達になんだか申し訳ない気もしたけど、
うらたくんの方が先だったから、なんて理由で心を落ち着かせてみる。
……でも。
もし今うらたくんに誘われていて、もっと前に友達に誘われていたら
……私はどっちを優先するんだろう……
……友達、だよね……?
チクッと心臓を針か何かで刺されたような感覚がした。
……病気?
ないない。
私は至って正常だ。
心に氷の破片が刺さったみたいで、なんだか気分が悪い。
早く溶ければいいのに、なんて。
心の中の氷なんて、溶けるものなのかな?
自問自答を繰り返しても、分かることなんて一つもなくて。
「……チョコレート、渡さなくていいよね……」
怖くなって、現実から逃げて。
この思いを知ったらいけない気がして。
うらたくんのために作ったチョコレートの包みを
そっと鞄に直した。
……何してるんだろ、私。
通りかかった時、ふと鏡に私の顔が映って。
頬に流れている透明の水滴になんて気づいてなくて。
私はそっと頬を触った。
指先に伝わるひんやりとして感触。
……どうして、だろう。
なんだかすごく……
……
“悲しい”……。
うらたくんの邪魔になるだけなのに。
そんなの分かり切ってるのに、涙は溢れてきて。
うらたくんが好きなんだって、初めて気づいたんだ。
……
うらたくんには好きな人が居るのに。
……こんなんじゃ、仮にもしうらたくんが砕けても固めてあげられないな、なんて。
……最低だ、私……。
……うらたくんが砕けることを望んでしまってるなんて。
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葵香(プロフ) - 星野 詩-Hoshino uta-サブさん» 了解です (2018年2月11日 14時) (レス) id: f27868d81a (このIDを非表示/違反報告)
星野 詩-Hoshino uta-サブ(プロフ) - 葵香さん» 参加者の者です。えっと、企画ホームページが砂糖。さんの方にあるのでそちらにコメントをお願いします。 (2018年2月11日 13時) (レス) id: c511165715 (このIDを非表示/違反報告)
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