【刀剣乱舞】その刀、風をも絶つ

プロローグ ページ1

西暦１５８２年 京都 本能寺









辺り一面火の海だった




明智光秀が織田信長に反旗をひるがえした



明智の軍は織田軍の手勢に大いに勝る兵力を持ち織田軍は成す術も無く明智軍がはなった日の中に信長もろとも飲み込まれていった









そんな中二人の子供が手を繋ぎながら火の海の中を走っていた


手を引いている方は男だろうか

とても子供とは思えないほど凛々しい顔つきをしていた

引かれている方は女だ

こちらもとても凛々しい顔つきで 美しい・・



よく見ると二人はとても似ている

兄弟か・・・

双子か・・・

いいやどちらでも良いだろう









先ほどから見ていると二人は出口には向かわずどんどんと寺の奥に進んでいく



「くそっ！ 信長公はどこにいるんだ・・・」


『落ち着け まだおられるはずだ 急ぐぞ』


二人とも所々に深い傷を負っていた

だが 二人は気にする事も無く奥へ走っていく






だが・・・


『！？ 薬研！ 危ない！』

「！？」


ﾄﾞｶｱｱﾝ！！


上から急に木材が落ちてきた

薬研 と呼ばれた少年は避けきれず頭を抱え込んで踞る





・・・だが覚悟していた痛みがこない

恐る恐る顔を上げる

だが思うように起き上がれない

　







それもそのはず少女が薬研のうえに覆い被さり彼を木材から守っていたからだ


薬研はすぐに彼女に駆け寄った

彼女は頭や足や腕から血を流し 腹部には木が刺さり大量出血していた


「姉貴！？ 姉貴！？ しっかりしろ！ 目を覚ませ！」









少女はしばらくしてゆっくりと目を覚ます


「姉貴！？」


『薬研・・ 逃げろ・・！ 早く・・信長公の元へ・・！』


「！？ そんな事・・できるか！ 姉貴だけ置いていけねえ！」


『無駄だ・・ 私はもう・・・助からない・・ こうなるのが 運命なんだ・・

薬研・・！ 私達刀はいつかは折れる・・！ 私は・・それが今日だっただけのことだ・・

ならば・・ お前も 時期にそうなるのならば・・！ 私の代わりに 信長公に最後までお使えしろ！』







さあ！ いけ！ 薬研！









薬研藤四郎


織田信長が最後に使った粟田口派の短刀として知られる


だが薬研と同じく信長が最後まで使った短刀がある

その刀は薬研と同じ刃を二つに折って作られた双子剣だった







その刀の名は









風剣藤四郎









その刀 風をも絶つ

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