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暫く景色を楽しんだ後は芝生の上に座り込んだ。草の良い香りが鼻腔を刺激する。なんだかすごく幸せな気分になった。
「ねぇねぇ、Aはなんでこの屋敷に来たの?」
ずっと疑問だったことを聞いてみた。別に答えてくれなくても構わないと思ってはいたが、彼は案外あっさりと答えてくれた。
「実は私は孤児だったのですが、幼い頃に主様に拾っていただいたんです。そしてここまで育てていただいたので、その恩返しにと」
そういうことらしい。だが、なぜこの屋敷で育てられた彼が従者になることを望んだのだろうか。率直な疑問を投げかけると、 彼は微笑んで答えてくれた。
「それは、あなたに仕えたかったからですよ」
……全く予想もしていなかった言葉で、一瞬思考回路が止まった。どういう意味かと問えば、彼は少し恥ずかしそうにしてはにかみながらも話してくれた。
「最初はあなたのことをただの御子息だとしか思っていませんでした。だから、特に興味もなかったのですが、ある日貴方が目に入りまして、その笑顔を見た時思ったんですよ。なんて愛くるしくて素敵な方なのだろうと。今まで見てきたどんな人間よりも可愛らしく見えたんです。それでつい声を掛けてしまった。それがあの時です」
あの時、そう言われてその頃のことを思い出す。確か、僕がまだ八つだった時の話なはずだ。いきなり「ぶるーく様」と話しかけられて驚いた記憶がある。
その時に僕は一目惚れされていたということか。嬉しいやら照れ臭いやらで頬を赤く染めていると、彼は僕の頭を撫でた。
「命を懸けてもお守りしますからね、ぶるーく様」

――――

数日後。Aと城下町まで買い物に降りて来ていた僕は、いつの間にか知らない場所に来てしまっていたようだった。
街でもそこそこ名の知れている貴族の息子がこんなところで迷子になっているだなんて知れたら、危ないかもしれない。そう思って必死に彼を探すも、方向音痴な僕と土地勘のない場所の相性は最悪であった。
「うぅ、A、どこぉ……」
泣きそうになるのを抑えて、何とか歩き回る。……あれ、さっきから同じ景色ばっかり見てる気がするな。そんなことを思い、キョロキョロと周りを見ながら歩いていたからか、人とぶつかってしまった。そちらの方に目を向けると、複数の男の人がこちらを睨んでいた。

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色彩 - ハァッ....!!一目惚れしましたはい、好きです(?)なんなんですか!!((お前がだよ))頑張ってください。 (2022年10月3日 16時) (レス) @page9 id: ed0cf3b229 (このIDを非表示/違反報告)
あくあぱっつぁ(プロフ) - 最高です…😇 (2022年9月19日 19時) (レス) @page3 id: 718ffcc258 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あび | 作成日時:2022年9月14日 7時

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