【d!】ガラスの靴が割れた。 (ページ8)

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男性が走り回って数分。私が連れてこられたのは男性の家だった。見た目からは想像もできない，キレイな白の家。

…というか，「入って」と言われたので入ってしまったのだけれど，これ…かなり怪しいわよね？

???「ちょっとそこで待っといて！救急箱取ってくるわ！」

そう言われたので，私は大人しく置かれていた椅子に座る。

それにしても，独特な話し方ね。言語が違う…とまではいかないけれど。地方の方言なのかしら？
「待っといて」は「待ってて」という意味なのでしょうけど…。

そんな事を考えていると，大きな音とともに彼は階段から降りてきた。

???「…んじゃ，ちょっと失礼するで？」

っ…消毒が傷口にしみる。
もちろん耐えれる程度だけれど…昔を思い出すから，この痛みは嫌い。

???「はい。これでカンセー。一応お城の人に見てもらってな？」

『ええ。ありが…え？』

“お城の人”って…私のことシンデレラって知ってるの？

『私のこと…知ってるの？』

???「当たり前やん。シンデレラ。ウツと並ぶほどの有名人。
流石に俺でも知っとるわ。…何？意外やった？」

すこしニヤけながら私に聞いてくる。

正直意外だった。なんていうか…失礼だけど，世間のことには興味がなさそうな見た目をしているものだから。

『ええ。意外だったわ。…貴方のお名前は？』

彼は頬杖をつく思きいっきり笑って答えた。

zm「…ゾム！それが俺の名前。」

…ゾムさん。珍しいお名前。嫌，それを言えばウツ様もか。

『ゾムさん。本当にありがとう。』

zm「ええで。こーゆー時は皆お互い様や！」

その言葉はなんだかすごく暖かい。
…また，お話したい。そう，強く思うような。

『…また，お話できたら嬉しいわ。』

つい，本音が漏れてしまった。
『しまった』と思い，ゾムさんの方を見ると若干照れながら，嬉しそうに笑っていた。

zm「大丈夫や。

…きっと，また何処かで会えるから。」

その言葉に若干引っかりつつも，私はお礼を言ってゾムさんの家を去った。