【d!】ガラスの靴が割れた。 (ページ7)

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あれから一週間。

ストーカーからの盗撮写真と手紙は毎日届いた。比喩とかではなく本当に，よ。毎日欠かさず。逆にここまでやられると怖いより気持ち悪いが勝ってしまう。

勿論ウツ様には相談をした。

ウツ様の反応はというと，酷く驚いた後に「気分添加に何処か行こう」と提案してくださった。私が気に病まないよう気を遣ってくれているのだろう。そのためなのか,最近は夜のお誘いもない。

そして，今はその気分転換のために二人で城下町に来ていた…はずだったのが…。

「ウツ王子様〜っ！」

「キャー，本物よ！なんてカッコいいの…！？」

「私にもガラスの靴届けて〜っ♡」

ut「ゔっ…。」

…ウツ様は絶賛囲まれ中。
まぁ，急に滅多に来ない王子様が城下町に来たとなったら騒ぐのも分かるのだけれど…私，居るんですけど。

ut「…シンデレラちゃんごめん。先何処か行ってて。
後で合流しよう。」

ウツ様が私にしか聞こえないくらいの声で囁いた。
確かに。それが良案だろう。

『…分かりました。では，後ほど。』

私も小声でそう返す。そして，この人混みから脱出しよう…とした。

全く動けない。数メートル先に人はいないのに，ここに密集し過ぎている。抜けた出せたら勝ちなんだけど…。

「ｯﾁ。邪魔よ！」

誰かにドンっと押され，人混みから抜け出す。
…抜け出せたのは結果オーライだけど，流石に今のは腹が立つ。

『…。』

…気分転換しに来たはずなのにね。余計気分落ち込んじゃった。でも，ウツ様が悪いわけではないし…。

もういいわ。先にお城に帰りましょう―。

そう考えていたとき，誰かに腕を掴まれた。

???「大丈夫っすか？…足，擦りむいとるで。」

自分の足を見てみると本当に擦りむいていた。
ウツ様からいただいたワンピースも汚れてしまっている。

私に話しかけてきた男性。かなりずっしりとした体つきで，頭にフードを被っており，顔はよく見えない。

『…ありがとうございます。でも，これくらい平気ですので。』

お義母様達の虐待に比べれば，こんなの痛くもないわ。
実際，気づいていなかったわけだし。

???「いや，あかんわ。…ちょっと失礼！」

男性は私を軽々お姫様抱っこする。
その時，ふと見えた彼の瞳はすごく美しかった。

『え…ちょっと！？』

そのまま男性はすごいスピードで走り出し，ウツ様なんてあっと言う間に見えなくなった。