【d!】ガラスの靴が割れた。 (ページ5)

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…ストーカー。それが今一番考えられる答え。だって，そうじゃなくてはこんな写真撮れないもの。

じゃあ一体誰が…？

『…いただきます！』

考えるのも怠くなってしまったので，私はメイさんが持ってきてくれた朝食を食べることにした。

…美味しい。
朝食は基本皆自分で用意するのだが，メイさんはいつも私の分も作ってくれる。本人は「自分の分を作るときのついで」と言うのだが，それにしては豪華なのよね。朝食を食べる習慣がなかった身なので，とにかくありがたい。

『あ，れ…？』

ご飯が少ししょっぱく感じたので全て悟った。

…私，泣いてるんだ。涙は止めようとしても余計溢れてくる。

私は目をごしごしと擦る。きっと目元は赤くなっているだろう。
…うん。きっと，私は疲れてるわ。ただそれだけ。

そうだ。今度，城下町にでも出かけましょう。そして，またあの子供達と遊びましょう。お洋服も買いたいわね。…そこまで贅沢してしまったらウツ様も呆れるかしら。

『…はぁ。』

今日二度目の大きな溜息。
それが沈黙の部屋の中に静かに響く。

本当に，私は何のために生きてるのかしら…。
ただ，ずっしり重い疑問が私の心を押しつぶそうになる。

コンコンコン

落ち込みに落ち込んでいた時。扉からノック音が聞こえた。

『はい。何方様でしょう。』

ut「シンデレラちゃん。ちょっと聞きたいことあって。」

扉の奥にいたのは全く想像もしていなかった相手，ウツ様だった。珍しい。この時間帯は基本ご職務の時間だと思うのだけれど。今日は時間に余裕があったのかしら。

そして，私は床を見たとき一つのことを思い出した。
そこにバラまかれていたのは数枚の私の盗撮写真と私の本名…Aが書かれた手紙。これを見られたらたまったものじゃないわ。

とりあえず…手紙を破いてぐちゃぐちゃにする。
こんなものあっても怖いだけだわ。そして，適当にゴミ箱に投げ入れる。

ut「…？入るよ〜。」

っ，待って…。

そんな私の願いは届くこともなく，ウツ様が扉を開け，私の部屋の中に入ってきた。

ut「え，何…それ…？」

…あーあ。バレてしまった。